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第787話*

 この中に男根を入れたら、さぞ気持ちいいだろう。肉筒が程よく締まり、己の形に纏わりついてくる上、きゅうきゅう吸い付いて離さない。  自分はあまり入れた経験がないけれど、確かにこれは「ずっと繋がっていたい」と思うのも理解できるかもしれない。  ――……って、何考えてるんだ俺は!  危うく変な方向に考えが傾いてしまうところだった。こんなところを兄に見られたら大変なことになる。さっさと始末して風呂から出なくては。  あえて何も考えないようにして、アクセルは黙々と自分の中から兄の残滓を掻き出した。  かなり時間をかけて奥の方から掻き出したのに、後から後から白濁が出てきて終わりが見えなかった。溢れてきた兄の遺伝子を目の当たりにして、さすがにちょっとげっそりしてきた。  あんな綺麗な顔をしているくせに、ベッドの上ではめちゃくちゃ絶倫ってどういうことだ。何かいろいろ反則な気がする……。 「はぁ……」  何度目かの溜息をつき、アクセルはもう一度頭から湯を被った。  ようやく腹の中がすっきりしてきたところで、ホッと一息つく。髪と身体を洗い、全身の汚れを落として、湯船に新しくお湯を張り、風呂から出た。  タオルで水気を拭きとっているところに、寝ぼけまなこの兄がやってきた。 「やあ、おはよう……。いい朝だね……」 「おはよう、兄上。また髪が爆発しているぞ」 「ああ、いいの……いつものことだし……お風呂で直してくるよ……」 「そうか。お湯は張り直してあるから、ごゆっくり」 「うん、ありがとう……じゃ、入ってくるね」  兄が寝間着を無造作に脱ぎ捨て、全裸になる。  綺麗で優雅な見た目だけど、さすがに上位ランカーらしく身体つきはしっかりしてるんだよなぁ……などと考えていると、唐突に兄がこちらを振り返った。 「あ、そう言えば口調が以前のお前に戻ってるね」 「えっ? あっ……ああ、確かに……」  言われて初めて、丁寧語ではなくタメ語で喋っていることに気付いた。あまりに当たり前すぎて意識していなかった。

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