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第788話
「抱かれている最中にいろいろ思い出したの?」
「思い出した……かもしれない。似たような感覚は何度もあったしな。以前も兄上にやりたい放題にされたなぁ、とか」
「ええ、何それ? 私は全力でお前を可愛がったつもりなんだけど」
「でも、ちょっといじめて楽しんでた面もあるだろ?」
「それはあるかも。まあ思い出したならいいじゃない」
笑って開き直っている兄。全く、困ったものだ。
アクセルはやや呆れながら、言った。
「じゃあ俺は朝食を作ってくる。あとベッドのシーツや枕も全部洗濯しておくから……」
兄の寝間着もまとめて洗濯してしまおう……と、タオルと一緒に洗濯用の籠に放り込む。そしてそのまま脱衣所を出て行こうとしたら、突然兄に壁ドンされてしまった。
「あ……兄上?」
至近距離まで迫って来られて、思わずぞくっとする。シャワーを浴びたはいいが着替えを持ってくるのを忘れたので、アクセルは未だに全裸のままだった。兄も寝間着を脱いだところなので、同じく全裸である。
これは……これは何か、危ない雰囲気が漂ってくるのだが……。
「思い出してよかったね。以前はベッドだけじゃなく、お風呂でやったこともあるんだよ。せっかくだからここで一回やってみる?」
「えっ……!? いや、あの……さすがにそれは……。今、後始末してきたばかりだし……」
「後始末なら何度でもできるじゃない。何なら今度は私がやってあげてもいいんだし」
「それは結構だ! 自分でできるから変なことしないでくれ!」
「えー……そう? お前の後始末をするのも結構好きなんだけどなぁ……。普段は楚々としてるお前が白いものを漏らす様はまさに……」
「兄上!」
聞くに堪えなくて、アクセルは大声で遮った。
なんでこの兄は、言うのも憚られるようなことを平気で口にできるんだろう。恥ずかしくはないのだろうか。
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