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第791話
「よし。じゃあ今度、ピピが育った山に行ってみるか。あそこは巨大な猪も出るから、ちゃんと準備して行かないとな」
「ぴー♪」
「他にもやりたいことがあったら、遠慮なく言ってくれ。『もっとたくさん野菜スープが食べたい』とかでもいいぞ」
「ぴー」
ピピが甘えるように身体をすり寄せてくる。ふわふわの毛並みが気持ちよかった。そうだ、日課の鍛錬が終わったらブラッシングしてあげよう。外の小屋にいるから、定期的なお風呂やブラッシングは大切だ。
「アクセル」
そんなことを考えていたら、兄がベランダから呼びかけてきた。いつの間にか風呂から出てきたみたいだ。
「お喋りしているところ悪いけど、お前も早くご飯食べなさい。せっかく焼いたお肉が冷めてしまうよ」
「あ、そうだった……。じゃあピピ、また後でな」
「ぴー♪」
アクセルは早足で家に戻った。
先に食べているかと思ったが、兄は弟が来るまで待っていてくれたみたいで、焼きたての肉も手つかずのまま残っていた。
「さ。冷めないうちに食べちゃおう。いただきまーす」
「いただきます」
向かい合ってナイフとフォークを取り合い、二人で仲良く食事した。
その際にピピの生まれ育った山に行くことを話したら、兄もノリノリで賛成してくれた。
「じゃあ近日中に山に行ってみよう。しばらくは死合いもないもんね」
「ああ。でも明日は見回り当番が入ってたな。鍛錬はもちろんだが、バルドル様やホズ様にも会いに行きたいし……やることは多そうだ」
「やることなくて暇すぎるよりはいいよ。暇を持て余した戦士の中には、悪趣味な狩りに興じるヤツもいるからね」
「……悪趣味な? どういう意味だ?」
「文字通りの意味だよ。狩りの対象が動物じゃないんだ」
「? 動物じゃないなら、一体何を対象に……」
「そんなの、自分よりランクが下の戦士に決まってるじゃない」
「……はっ?」
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