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第813話
「めんどくさいってなぁ……。材木の販売って絶対需要あると思うんだが」
そうボヤいたけれど、売ってないというなら仕方ない。自分で材木調達して切り出そう。
――ピピと山に行った時、ついでに材木探しでもしようかな。
今後の予定を立てながら、アクセルはひたすら野菜を煮込んだ。
しばらくすると野菜も柔らかく煮えてきて、スープ状の煮物が出来上がった。それに塩・コショウで味付けをし、軽く馴染ませたらピピの野菜スープは完成だ。
せっかくのお天気なので昼食は外でとることにし、アクセルは鍋を持ってベランダに出た。兄もホカホカのホットサンドを皿に乗せて外に出てきた。
「ピピ、ご飯にするぞ」
「……ぴ?」
少々寝ぼけた鳴き声がしたと思ったら、ピピが猛スピードですっ飛んできた。美味しそうな野菜スープの匂いで目覚めたみたいだ。
「ほら、ピピの大好きな野菜スープだ。作りたてだから火傷しないように気をつけろよ?」
「ぴー♪」
「それじゃ、私たちもいただこうか」
兄にホットサンドを差し出され、仲良くベランダに腰掛けて昼食をとった。こうしてみんなで穏やかな食事ができるのは、平凡だけど非常に幸せなことだ。戦うことが日常の戦士にとっては、家族と食事がとれるだけで十分ありがたい。
「これ食べたらいろいろ買い出しに行かないとな。兄上、ついてきてくれるか?」
「うん、もちろん」
昼食を終え、食器や鍋を全部綺麗に片付けて、アクセルは兄と市場に買い物に出掛けた。
数日分の食料と日用品――特に石鹸を多めに買い込んで、念のために材木も見に行った。
が、やはり材木に関しては暖炉用の薪や丸太しか売っていなくて、露天風呂を作れるような幅広の材木は置いていなかった。これに関しては自分で収集してくるしかないようだ。
「別にそう困ることでもなくない? 以前のお前は木彫りでもポストでも自作してたじゃない。材料さえ集めれば、後は余裕でしょ」
……その材料集めが一番面倒なのだが。
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