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第815話

 無事がわかってホッとしつつも、アクセルは兄の元へすっ飛んで行った。 「兄上! どこに行ってたんだ? 全然帰ってこないから心配したぞ」 「ごめんごめん。帰りにケイジの修行場を通りかかってね。そういやアクセルはここで鍛錬始めたんだったなーと思ったら、急に興味が出て来て。私も軽く鍛錬してみたんだ。滝修行だけはやらなかったけど」  服が濡れたら面倒だから、と笑う兄。  ――なんだ……それで遅くなったのか……。  万が一事件に巻き込まれていたらどうしようと思っていたが、ただの鍛錬ならよかった。できれば今後は、ちゃんと「鍛錬してくるね」と言って欲しいところだが。 「そうか……。それで、どうだったんだ?」 「うん、丸太三本くらいなら余裕で担げたよ。岩も、平坦な場所をひたすら押すだけだったらどこまでもイケそうだった」 「そ、そうか……」  それを聞いて、アクセルは顔が引き攣りそうだった。  ――あの丸太を三本? 一本だけでもかなり太かったのに?  まだ挑戦してないけど、残念ながら自分は丸太一本でも苦戦しそうな気がする。岩にしても――大きさにもよるだろうが――最初のうちはびくともしないのではなかろうか。  何故兄はそんなにも足腰が強いのだろう。いつどこでどうやって鍛えているのか、不思議でならない。普段はそこまで厳しい鍛錬をしているようには見えないのに、一体どこが違うのだろう……。 「あーそれより、久々に鍛錬したらお腹空いちゃったな。ご飯何にしよう?」 「あ、ええと……それはこれから作るんだ。ピピの食事も一緒に作っちゃうから、ちょっと待っててくれ」 「そう? じゃあ私はちょっと汗流してくるね」  そう言って兄は、風呂場に消えて行った。  夕飯の食材を漁りながら、アクセルは悶々と悩んだ。どうすれば兄のようにもっと強くなれるのか、その方法がわからなかった。

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