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第818話

 翌日。アクセルはいつもより少しだけ早起きして鍛錬に勤しんだ。  朝食前にピピと庭をランニングし、軽く身体を動かしてから朝食を作り、食事をとってからケイジの鍛錬場に向かった。  今日は夜まで予定が入っていないので、存分に鍛錬ができる。くれぐれも気絶しないよう気をつけねば。  ――ケイジ様は……来てないな。  上位ランカーというのは、毎日長時間鍛錬しているわけではないらしい。実力を供えている人は、鍛錬は量より質になるということか。  自分はそこまでの実力がないから、ひたすら量をこなすしかないのだが……。  ――とりあえず、今日は気絶せずに三〇分間滝に打たれるようになるぞ。  そう気合いを入れて、アクセルは早速準備体操をした。最初は兄と鍛錬しようかと思ったが、同じことをしていてはいつまで経っても追いつけないので、わざと兄は誘わなかった。  代わりに、たまたま道で会った人物を巻き込むことにした。 「僕と一緒に鍛錬したいなんて、珍しい人もいたもんだね~。ま、楽しいからいいけどね~」  ミューがペロペロキャンディーをくわえながら言う。  ランキング一位の戦士を誘うとか図々しいことこの上ないが、兄の友達だし顔見知りだし、ついでにヒマそうにしていたのでつき合ってもらうことにした。  それに、ミューが相手だったら実力差がありすぎて逆に何とも思わない気がしたのだ。 「あー、滝修行とか久しぶりだなー。僕、滝に打たれながらかき氷食べるのが好きなんだよねー」 「そ、そうか……」  ……ただでさえ冷たい水なのに、かき氷まで食べるなんてどういう神経をしているのだろう。  ミューは準備体操もそこそこに、ザバザバ水に入って滝の下に入った。  だが、一分も経たないうちに滝から出てきて、近くの丸太や岩を物色し始めた。 「どうしたんだ?」

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