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第825話

 しばらく湯に浸かり、十分に温まってから軽く身体を洗って風呂を出る。  風呂に入っている時、本当に自分の下半身が引き締まっているのか、鏡で見ながら確かめてみた。少しだけしっかりしてきたような気もするが、やはり毎日自分で見続けているとイマイチ変化が実感できない。本格的な死合いを行えば、少しは成長がわかるんだろうか……うーむ……。  新しい服を着て、リビングに戻る。そこでは兄とミューがのんびりお茶をしていた。お茶菓子はミューが提供したペロペロキャンディーである。お茶と合うかはわからないが。 「やあ、おかえり。ミューからいろいろ話は聞いたよ。頑張ってきたみたいだね」 「いや……ミューが興味深い話をしてくれたおかげだよ。ありがとう」 「ふふん、どういたしまして。僕の話もいいけど、ユーベルやジークの話の方がもっと面白いよー。今度鍛錬に誘ってみるといいよー」 「そうなのか。それはちょっと気になるな」  アクセルが席についたのと同時に、ミューが立ち上がった。そしてキャンディーを咥えながら、言った。 「それじゃ、僕はこれで帰りまーす。宴、楽しんできてねー」 「あれ? ミューは参加しないのか?」 「んー、今回はパスかなー。いつもは参加してるけど、今夜はユーベルの子分も一緒に踊るんでしょー? 僕が行ったら一瞬で子分全員殺しちゃいそうなんだよねー」 「そ、そうか……」 「丸腰で参加するって手もあるけど、回避するだけじゃつまらないし。残念だけど今回はパスー。普通の宴の時に、また参加するよー」  じゃあねー、と言ってミューはベランダから帰っていった。  庭にいるピピに「ピピちゃん、これあげるー」と食べかけのペロペロキャンディーを差し出していたが、案の定ピピにはそっぽを向かれていた。 「まあ、ミューは参加しないのが正解だよ。ユーベルにも『あなたは参加しないように』って念を押されていたし。せっかく連れて来た子分が、開始数秒で全滅させられたら興醒めだもんね」

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