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第833話※

 感動して見とれそうになっていると、横から兄が出て来てサッと剣撃から庇ってくれる。 「さすがユーベル、どこまでも優雅を貫いてるね。そういうの嫌いじゃないよ!」  その途端、兄の空気も一変した。殺気と闘気が膨れ上がり、息が詰まりそうなほどの迫力がその身に纏わりついている。 「ギェアアァァァ!」  兄も狂戦士モードに入った。達人同士の空気がぶつかり合い、目にも止まらない速さで剣を叩き合っている。火花と共に鮮血も舞い、衣装が千切れて髪も飛び散った。それでもお互い、武器を振るう手は止まらなかった。  どちらも狂戦士モードで痛みを感じない分、より一層に過激になる。 「なーに楽しそうなことしてんだ! 俺も混ぜてくれよ!」 「ジーク様……!?」  そこへジークまで乱入してきた。彼も狂戦士モードに突入しており、放出する殺気で髪がやや逆立っている。  彼は光のような速さと正確さで槍を突き出し、ユーベルの首を狙っている。 「おお、ジークも参戦ですか! いいですとも! 皆で一緒に踊りましょう!」  鉄のリボンを振るうだけでは飽き足らず、切り込んできた兄にハイキックをかます。他の五人もやや遅れてハイキックしてきたが、バランスが崩れて攻撃がブレた。そこを兄とジークに狙われ、あっさり二つ首が飛ぶ。  ――すごすぎる……!  ついておいでと兄には言われたものの、これじゃとてもじゃないけど自分は入れない。間合いに入った瞬間細切れにされそうだ。  そう尻込みしていると、兄が声を張り上げてきた。 「ほら、お前も! 早く狂戦士になりなさい!」 「ええ、わたくしはウェルカムですよ! こんな愉快な舞はなかなか経験できませんからね!」 「お前さんも一度経験しておくといいぞ!」 「……!」  三人同時にそそのかしてくる。そう言っている間にも、三人の皮膚は裂け、血が飛び、片腕が吹っ飛んだ。  そんな上位ランカーの様子を見ていたら、尻込みしていた自分が恥ずかしくなってきた。

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