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第834話※
――やっぱりこの人たちはすごいな……。
どんなに斬られても、腕がなくなっても、三人はとても楽しそうだ。死ぬとか負けるとか、そんなこと考えない。戦うことそのものを存分に楽しんでいる。
これが本来の戦士の、あるべき姿だ。
「ふ……ふ……」
短い呼吸を繰り返し、気合いを高める。
自分もあんな戦いがしたい。怖気づいている場合じゃない。斬り刻まれても構わないから、彼らと一緒に血の滴る舞を……。
「……たあぁぁぁッ!」
雄叫びを上げて、アクセルは中心に飛び込んだ。風の刃がこちらを刺したが、痛みは感じなかった。
勢いのまま右の小太刀を振り上げ、ユーベルに斬りかかる。当たり前のように防がれてしまったが、間髪入れずに左の小太刀も振り下ろした。
ユーベルの肩に入りかけたと思った途端、彼に蹴り上げられて顎を強打してしまう。痛みはないものの衝撃で仰け反り、その隙に胸部や腹部を浅く斬られた。
「おお! とうとうあなたも狂戦士になりましたか! これはいいですね!」
頬に血をつけたまま、ユーベルが楽しそうに笑う。
兄も血に濡れたマントを翻しつつ、誇らしげに語った。
「私の弟、結構やるだろう? 実力はこれからだけど、素質は抜群なんだよ」
「ええ、確かに。中間ランクの戦士がここまで生き残れるとは思いませんでしたよ」
「きっとこれからもっともっと強くなるよ。私たちも負けていられないね」
「全くです」
兄が正面からユーベルを薙ぎ払う。ユーベルは柔らかく身体を曲げてそれを躱し、バク宙しながらリボンのように剣をしならせた。
「おっと、こっちだぜ!」
背後からジークが槍を突き出してくる。穂先が太ももを貫く寸前、剣でほんの少し軌道を反らせ、槍の柄を踏みつけて更に跳躍した。
壊れかけた天井までジャンプし、上から竜巻のような剣撃を浴びせて来る。宴会場全体を破壊するような広範囲の攻撃に、死角はなかった。
――避けられない……!
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