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第864話
アクセルは苦笑しながら、言った。
「それはともかく、相手のことを知るのはいいことだろ? どんな戦い方をするのかわかれば、対策も練られるし」
「まあ予習自体はいいことだけどさ。フレイン様、自分ができないことをアクセルに要求するのってどうなんだろうね」
「いいんだよ、兄上のムチャ振りはいつものことだ。それくらいで腹は立たないさ」
「はあ……そっか。なんかもう、そこまでぞっこんだと何言っても無駄だね……」
「無駄ってなんだ? チェイニーの情報は無駄じゃないぞ?」
「いや、こっちの話。仲良し兄弟で羨ましい限りだよ」
「? そうか? じゃあ俺はアロイスを捜してくる。どうもありがとう」
話を切り上げ、早速アクセルは得られた情報をもとにアロイスを捜した。
鍛錬場を全部見て回ったが、該当しそうな戦士はいない。甲冑の戦士はいたものの、黒塗りではないので別人だ。
――鍛錬場にいないなら、一体どこにいるんだろう……。
アロイスを見かけたら教えてくれ……と、顔見知りの戦士に頼んで回ったけど、あまり時間もかけていられない。試合は今週半ばだ。あと三日しかないんだし、一日調べてわからなかったら、諦めて自分の鍛錬に勤しんだ方がいいかもしれない。
そう思いつつ、アクセルは他の場所にも行ってみた。
世界樹 の前、オーディンの泉近く、市場の中にある武器屋……あと、酒場にもちょっと顔を出してみた。
それでも、アロイスらしき人物は見当たらない。
――うーん……彼、いつも何をしてるんだろ……。
鍛錬場にもいない、泉にもいない、武器屋にも酒場にもいないとなれば、どこを捜していいかわからない(まあ自分も人のこと言えないけど)。
もう見つからないものと諦めて、さっさと「甲冑対策」を練った方がいいかも……。
そう思って家に帰りかけた時、やたらと大きな台車が前から転がって来るのが見えた。武器や防具等が大量に積まれており、押している人も前が見えていない状態である。
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