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第878話
――……って、そんなのアリかよ!
驚愕に目を見開きつつ、慌てて回避する。
衝撃波を飛ばせるなんて聞いてない。兄だって、今までそんな芸当を見せてくれたことはなかった。
それとも、この技は中堅ランクの戦士ならできて当たり前なのか? 俺が知らなかっただけなのか? こんなことができるなら、自分の間合いも自由に変え放題じゃないか……!
「おいおいアクセル、どうした? 逃げてばっかじゃ勝負にならねぇぞ!」
アロイスがひたすら大剣を振り回してくる。思った以上に攻撃範囲が広く、完全に避けきれず、幾度となく斬られかけた。目測を誤って腕や太ももを抉られ、その度に肉と一緒に鮮血も弾け飛ぶ。
だがそうやって必死に回避している間に、アクセルの肝もだんだん据ってきた。
――わかってるさ、このままじゃ絶対勝てないからな……!
こちらだって、一方的に斬られて敗北するのは御免である。回避しても斬られるなら、斬られること前提で飛び込むまで。
「タアァァァッ!」
軽くなった身体をばねにし、一気に跳躍して斬りかかる。斬られた部分の痛みもなくなり、相手の動きもより鮮明に見え、衝撃波が出て来る瞬間も目視できるようになった。
「おっしゃ! やっと本気出したな!」
腕で小太刀を受け止めながら、アロイスが至極楽しそうな笑みを浮かべる。
「そんじゃオレも! とぉぉりゃあぁぁぁ!」
小太刀をへし折る勢いで、力任せに腕を押し返してきた。
真正面から打ち合っては力負けするだけなので、アクセルは小太刀を斜めに弾き上げ、今度は両肩の隙間狙って両方向から打ち込んだ。
――どんな頑丈な甲冑でも、関節を狙えば……!
関節には必ず隙間がある。そこを上手く斬れれば、甲冑ごと相手の腕を落とすのも不可能ではない。
「はあぁぁっ!」
ガチン、と小太刀が隙間に挟まった音がした。左の小太刀は残念ながら隙間に入らなかったが、右の小太刀は甲冑の奥の鎖帷子に当たった感触があった。
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