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第884話(フレイン視点)

 ――食事会って、明日だったんだ……。  どうやら曜日を間違えていたようだ。週の半ばって書いてあったから水曜日だと思い込んでいたけれど、神々の世界では月曜日から一週間をカウントするのが常識らしい。つまり、バルドルの言う週の半ばとは木曜日のことである。  ――これはわかりにくいなぁ……。私じゃなくても勘違いしちゃうじゃないか。  やれやれ……と肩を落としていると、スープの鍋がぷしゅー……と吹きこぼれた音がして、慌てて火加減を弱めた。  仕上げに塩・こしょうで味を調え、完成したスープをピピに持って行く。今日は肉が多めのシチュー風に作ってみた。 「お待たせ、ピピちゃん。ご飯できたよ」 「ぴー」  美味しそうな匂いを嗅ぎつけ、ピピが小屋から出てきた。フレインも自分の昼食を皿に盛り、ベランダで食事をとることにした。  ――これ、作りすぎちゃったなぁ……。  昼食用にフライパンで簡単に焼けるパンを作ったら、思った以上に作りすぎてしまった。何も考えずに無心で作っていたからだろうか。弟がいたら一緒に食べてくれただろうけど、今は一人なのでおすそ分けする相手もいない。  まあ、ピピちゃん雑食だしパンくらい食べるよね……と、試しにスープの隣に何枚か置いてやったら、ピピは怪訝な目でパンを見つめた。平べったい白パンは初めて見たのか、探るようにふんふんと匂いを嗅いでいる。  そうして一口齧ったところ、ピピは上機嫌に耳をパタパタ上下させた。 「ぴー♪」 「美味しい? よかった。いっぱいあるから好きなだけ食べていいよ」  うんうん、と頷きながら、ピピはパンとスープを交互に味わい始めた。  フレインもそれを横目で見つつ、昼食をとった。 「アクセル、今日の死合いとっても頑張ってたんだよ。相性的には不利だったのに、最後まで対等に戦ってた。狂戦士モードも使いこなせてたし、なかなか見応えがあったよ。ピピちゃんにも見せてあげたかったな」

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