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第930話*
水分補給はしたとはいえ、この程度では十分な休憩がとれたとは言えない。体力も回復していないし、今の状態で貫かれるのは無理があった。
何とか思い留まってくれないかと口を開きかけたが、兄と目が合った瞬間、出そうとしていた言葉が一気に引っ込んでしまった。
「兄上……」
兄が欲望を孕んだ目でこちらを見下ろしてくる。ニヤリと微笑んでいる口元からは鋭い犬歯が覗いており、圧倒的な雄の雰囲気を漂わせている。
――ああ、もう……これはだめだな……。
自分なんかが逆らえる相手ではない。こうやって組み敷かれてしまった以上、兄の好き放題に嬲られる運命なのだ。どうせ何を言っても兄はやりたいようにやるだけだし、諦めて身を任せるしかないかもしれない……。
そう思い、ごくりと喉を鳴らした瞬間、つぷん……と兄の先端が蕾を破ってきた。
「っ……んッ! ふ……!」
それだけでも背筋が痺れ、凄まじい快感に肌が震える。こんなんじゃ、一番奥を突かれた瞬間またイってしまいそうだ。
でも、それならそれで仕方ない。今更どうにもならない。なるようになれ、だ。
半ば開き直るように覚悟を決め、この先の衝撃に備えて歯を食いしばっていたのだが、
「あ……? あっ?」
いくら待っても兄はそれ以上進んでこなかった。先端だけ挿し込んだところで止まってしまっている。
腰を揺らして誘ってみても、兄はそれに合わせて器用に逃げるだけで、一向に奥へ挿れてくれない。
「あ、兄上……なんで……」
「うん? だってお前が待ってって言うから。たまにはリクエストに応えてあげようかなと思って」
「なっ……!」
「お兄ちゃんはお前に優しいからね。もちろん、どうして欲しいか言ってくれれば聞いてあげるよ。どうして欲しいの?」
「っ……!」
なんだそれは。どうしてこんなところでドSっぷりを発揮するんだ。ストレートに挿れてくれればいいのに、何故今もったいぶるんだ。これ以上俺を辱めてどうするんだよ!
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