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第931話*

 理不尽な怒りが湧いてきたが、この状況は圧倒的にアクセルに不利だった。  身体の感度はそのままなのに、先端だけ挿れられた状態で固定され、ぶるぶる肌が震えてしまう。抵抗しようにも、上から押さえつけられているので身を捩ることもままならなかった。  早く奥まで突いて欲しい……という欲望ばかり大きくなり、つい腰をくねらせてしまうが、それでは兄は許してくれない。口でハッキリおねだりしない限り、奥まで挿れてもらえないみたいだ。  でも……でも……だからって「挿れてください」なんてお願いするのは、あまりに淫らで恥ずかしすぎる。 「こ……んな、ひどい……」 「ええ、そうかな? たまにはお前のペースに合わせてあげようと思っただけだよ?」 「そ……な……こんな、ところで……いじわるしなくても……!」 「意地悪かい? だってお前、いつも『待って』とか『だめ』とか言ってばかりでしょ。だから今ズボッとやるのはよくないのかなーなんて」  しれっとそんなことを言う兄。  こちらの性格などわかりきっているはずなのに、わざとそんなことを言って困らせているのだ。これを「意地悪」と言わずに何と言うのか。それに言い方! ズボッてなんだよ、ズボッて! 「っ……!」  だが、怒りを覚えても状況が変わるわけではない。  それどころか、先端だけ少しずつ出したり入れたりを繰り返され、余計に身体の疼きが大きくなってしまう。秘蕾がジンジンしてたまらず、腹の奥がざわざわ蠢き、体内の掻痒感が増してきた。  早く挿れて欲しい。奥まで挿れて、弱いところをゴリゴリ抉って、強い力でずんずん突いて欲しい……。 「うっ……う……」 「ほら、早く言いなさい。言わないといつまでもこのままだよ? いいの?」 「うう……」 「あまり我慢してると、全身が快感に飢えて大変なことになるよ? 焦らされまくった後だと、一発で失神するほど気持ちよくなっちゃうから」 「っ……!?」

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