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第934話*

 失神直前に力を抑えられたせいか、濁っていた意識も徐々にハッキリしてきた。理性を完全に取り戻すにはまだ時間がかかるが、それでも朦朧とした意識がクリアになってきたのは大きい。  アクセルはテーブルに突っ伏したまま、快感に打ち震えた。 「んっ、んっ……ああ、兄上ぇ……」 「ふふ、可愛いなぁ……。お前、今すごくいい顔してるよ。これ、そんなに気持ちいい?」 「いい……! 気持ちい……このまま、もっと……!」 「はは、そっか。こんなにメロメロなお前を見られるなら、たまにはゆっくり攻めるのもいいかもね」 「あぁっ!」  また最奥にコツコツと先端を当てられ、自然と腰が揺れてしまう。自分自身でも肉筒を締めているのがわかり、欲望の血管ひとつひとつがまざまざと感じ取れた。  内部の圧迫感はすごかったものの、それすらも今のアクセルには快感でしかなく、浅い呼吸を繰り返しながら官能的な刺激に溺れてしまう。 「さて、と……」 「っ……?」  甘い刺激を与え続けていた兄が、ずるりと腰を引いて行った。今まで内部に食い込んでいた楔が全て抜け去り、ぽっかりと後ろに穴が開いてしまう。  何やらもどかしい気持ちが湧いてきて、アクセルは首を捻って兄を見上げた。 「兄上、何を……」 「いや、ずっと突いてばかりだからそろそろ飽きてきたかなーなんて。もうちょっと別のことをしてみようかと」 「べ、別のこと……?」  ……ものすごく嫌な予感がするのだが、気のせいだろうか。  絶対ロクなことじゃない……と内心身構えていると、兄がこちらの身体をひょいと抱き上げ、テーブルの上に寝かせてきた。今度は仰向けにさせられ、頭が半分端からずり落ちたような状態で押さえつけられる。直接兄が目視できる分、ものすごく緊張した。 「はい、じゃあこれ」 「っ……!?」  目の前にボロンと欲望を突き付けられ、思わずぎょっと息を呑む。  兄の男根は顔に似合わず立派なもので、赤黒く膨張して雄々しくそそり立っていた。

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