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第935話*

「ほら、口開けて。しっかり奥まで咥えてね」 「えっ……!?」 「えっ、じゃないでしょ。わかってるくせに。この姿勢なら舐めやすいだろうし、たまには口でやってもいいんじゃない?」 「っ……で、でも俺……」  正直、口でやるのはあまり得意ではないのだ。上手く呼吸できないし、歯を立てないように気を遣っていると顎が疲れて攣りそうになる。  それだったら、下に突っ込まれた方がかなり楽だ。下から突き上げられる分には、そういった苦痛はないから(その代わり、別の苦痛はあるけれど)。 「ほらほら、遠慮しないで。お前の口で、お兄ちゃんを気持ちよくさせてよ」 「うっ……」  口元に欲望を擦りつけられ、反射的に顔を背けてしまう。熱くぬめっている中にもざらりとした感触があって、その生々しさにぞくぞくした。雄特有の匂いも強烈で、自分の意思とは関係なく官能を刺激されてしまう。  でも、だからといって積極的に咥えたいかといったら、それはまた別というか……。 「……どうしたの? 口を閉じたままじゃできないよ?」 「っ……」 「自発的に開けられないなら、お兄ちゃんがこじ開けちゃおうか」 「……んあっ!」  鼻先を軽く摘ままれ、呼吸ができなくなる。息苦しさに耐えられなくなり、口を大きく開けた瞬間、そこにずぼっと兄のものが捻じ込まれた。 「んンッ! ん、くっ、うぅ……」 「そうそう、いい感じ。奥まで喉が開いてて気持ちいいよ」 「ふぐっ……! ぐ、ごほっ……んぅっ……!」 「わかってると思うけど、苦しくなっても歯は立てないようにね。痛いから」 「ふ、うぅ……!」  何とも無茶なことを言う兄である。弟がフェラを苦手としていることを知らないのか……いや、知っていてムチャ振りをしているに違いない。  とはいえ、自分の立場で「やめてくれ」とも言えないし、兄が満足するまでひたすら耐えるしかないのが現状だった。  ――うう……やっぱりこれ、くるし……!  呼吸困難に陥りながらも、懸命に口を広げて歯を立てないよう努力する。  できる限り舌を動かし、口を窄めて兄を刺激し、滲んできた体液を啜り上げてやった。

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