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第944話
――早いところ露天風呂作っちゃおう……。
そうすれば自分が入浴しながらピピの身体も洗えるし、外の景色も眺めていられる。家の庭だから、部外者に見られる心配もない。ヴァルハラは滅多に雨が降らないから、夜に入れば星も綺麗だろう。
もちろん、ピピの新しいうさぎ小屋も忘れていない。
アクセルはピピに食事を与えながら、言った。
「明日、ノコギリの切れ味を上げてくるからな。今週中には作るからもう少し待っててくれ」
「ぴー」
「あと、食料の買い出しにも行くつもりなんだが、食べたいものはあるか? いつも野菜スープばかりじゃ飽きるだろ」
「ぴ……」
「たまにはスープじゃなくてサラダがいいとか、もっと別のものがいいとか。リクエストがあったら聞くぞ?」
ピピは野菜スープから顔を上げ、少し首をかしげた。あれこれ考えている様子だったが、しばらくして思いついたようにこう言った。
「ふれんちとーすと」
「ああ、そう言えば以前食べたことあったっけ。わかった、パンと卵と牛乳も買って来るよ」
「ぴー♪」
ピピは雑食なのだから、野菜スープやフレンチトーストのみならず、もっといろんな食事を作ってあげてもいいかもしれない。
何だかんだでやることはたくさんあるな……と考えていると、
「おーいアクセル、お肉焼けたよ。ご飯にしよう」
兄が呼びに来たので、アクセルは家に戻って兄と一緒に食事をした。
兄は相変わらず食欲旺盛で、あれだけやりまくった後でも当たり前のようにステーキをガツガツ食べまくっていた。
「ところでお前、明日ノコギリを鍛冶屋に出した後はどうするの?」
「どうって……いつも通り鍛錬するつもりだが」
「ふーん? 私は特にやることないし、家でゴロゴロしてようかな」
「ゴロゴロって……。兄上、いつ鍛錬してるんだよ? 兄上が鍛錬しているところなんて、ヴァルハラに来てからほとんど見たことないぞ」
「やだな、私だってやる時はちゃんとやってるよ。少なくとも、今のお前よりは腕力もスタミナも全然あるよ」
「それは、まあ……」
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