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第953話
アクセルは腰を上げて、アロイスに礼を言った。
「ありがとう。おかげでかなり助かった。また木材が必要になったら頼みに来ていいか?」
「おう、お安い御用だぜ! いつでも来てくれ!」
「助かるよ。今度お礼に何か差し入れする」
「マジか! じゃあアレだ、肉と豆を煮込んだスープを作って来てくれ! アクセル、料理得意なんだろ?」
「あ……うん、わかった。肉と豆のスープだな」
それくらいだったらわざわざ自分に頼まなくても、市場の食事処に行けばいくらでも食べられそうだが……まあ、アロイスのリクエストだから素直に聞いておくことにしよう。
「じゃあこの台車、借りていくな。終わったら返しに来るよ」
そう言ってアクセルは、加工されたヒノキが積まれた台車を引こうとした。
……が、思った以上にヒノキが重くてなかなか前に進まない。
「……おいおい、大丈夫か? アクセル、ちょっと足腰弱すぎじゃね?」
「そ、そんなはずは……。最近は、足腰や体幹を重点的に鍛えてるんだが……」
「でもその程度の台車もスムーズに動かせないってヤバくね? フレイン様を目指すより、先にケイジ様に稽古つけてもらった方がいいんじゃねぇの?」
「そ、そうかな……。以前、自由に使っていいって言われて、修行場を貸してもらったことならあるが……」
「あー、あの滝が流れてくる修行場だろ! あそこならオレも使ったことあるぜ! あの水、冷たいし重いし、キッツいよなー」
「あ、ああ……。アロイスでもそう思うのか」
「まあなー。丸太担ぎながらだとさすがに大変だったが、おかげで足腰と体幹はバッチリだぜ! 次の修行場での岩押しも、足腰強けりゃどうにでもなった!」
「……は? アロイス、あの修行場の更に先に行けたのか?」
ケイジ曰く、確かあの修行場は初歩中の初歩で、そこでの修行を全てクリアできたら次の修行場に進めるんだ。
するとアロイスは、腰に手を当てて胸を張ってきた。
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