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第957話*
痛みもないし圧迫感もほとんどなかったけれど、これはまだ一個目。いずれ全てのボールを突っ込まれるのかと思うと、今から恐ろしくてたまらなかった。
この兄のことだから、ただ入れただけでは終わらないだろうし……。
「おお、さすがアクセル。すんなり入ったね。じゃ、どんどん行くよー」
「ん……っ、く……!」
続けざま、二個目、三個目のボールが差し込まれる。数が増えていくにつれてどんどん圧迫感が増していき、最初に入れられたボールが奥へ奥へと押しやられていった。
さすがに苦しくなってきて、アクセルは首を捻って兄を見た。
「あ、兄上……まだ入れるのか……?」
「うん、まだまだ。全部入れるまで終わらないよ」
「全部……!? そんな……これ、全部だなんて……」
確かこのボールチェーン、見ただけでも結構な長さがあった。適当に見積もっても、尻から臍の下くらいまで届きそうな長さだったと思う。
――こ、こんな羞恥プレイ……体幹トレーニングになるわけが……!
完全に騙された。知らなかったとはいえ、兄に使い方を聞いたのがそもそもの間違いだった。知らないなら知らないまま、素直に鍛冶屋に返却しに行けばよかった。自分の浅はかさを呪いたくなる。
だが、こうなってしまった以上、今更後悔しても遅い。
「ぃうっ……!」
またボールが入ってきて、また一段階苦しくなった。
これで何個目だろう。あといくつ残っているのだろう。最初に入れられたボールがそろそろ最奥に到達しそうだ。これ以上はもう入らない。
アクセルは肩を震わせながら、ぜぇぜぇと荒い息を吐いた。
「や、やめ……もう無理、くるし……っ!」
「はいはい、我慢我慢。これ、一応体幹鍛えるトレーニングだからね。こんなところで音を上げてたら、訓練にならないよ」
「こんな……どこが、トレーニングなん……」
「もうすぐわかるから。ほら、最後の一個だよ」
「うあっ……!」
一番大きい最後の一個が、ずぷん、と中に埋め込まれた。全てのボールが腹の中に納まり、最初のボールが臍の下を軽く突いてくる。
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