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第963話*

「はう……ン! あ、兄上……もっと、ゆっくりしてぇ……!」 「ええ? 十分ゆっくりしてるつもりだけど。もっとゆっくりしろって言うの?」 「だ、って……こんな、感じすぎちゃ……ああっ!」 「もう、本当に敏感なんだから。こんなんじゃ道具を使った訓練も、ただの羞恥プレイになっちゃうじゃないか」 「んんぅ……!」  顎を掴まれ、首を捻られてやや強引に唇を塞がれる。それでたっぷり口内を犯され、息ができなくなって頭がぼーっとしてきた。 「っ、んっ……んく……!」  こちらに身体を倒されると結合部分がぐっ……と密着し、より一層深いところに先端が当たる。バックだと正常位とはまた違う角度で中を抉られるから、刺激を受ける場所も違って感じるのだ。  いいところに当たるようで当たらないような……本当に欲しいところとは微妙にズレているような……奥は奥でもそこじゃないような……もどかしい気持ちがじわじわ募って来る。 「んっ……! あ、兄上ぇ……」 「うん、どうしたの? まだ何か注文かい?」 「あ、っ……そこ、違う……んっ!」 「違うって何? ちゃんと奥突いてあげてるじゃない」 「違っ……そ、じゃなくて、角度が……あっ」 「角度が? お前の好きなところ、ここじゃなかったっけ?」  と、わざとらしくぐりぐり腰を回してくる兄。  本当は全部わかっているくせに、あくまで弟の口から言わせようという魂胆なのだ。こういう時の兄は本当に意地悪だと思う。 「あっ、あっ……兄上、待って……一度止まってくれ……!」 「おや、もう限界なのかい? さっきイったばかりなのに」 「違う、んだ……俺は、ただ……」  涙で濡れた目で兄を見上げる。  お願いしようと思ったが、「いいところに当たらないので正常位にしてください」とはさすがに言えず、一瞬言葉に詰まった。こんな頼み方したら、自ら「淫乱です」と宣言しているようなものではないか。  咄嗟に上手い表現が思い浮かばず、結局アクセルは苦し紛れにこう言った。 「兄上の、顔……が、見たい……」

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