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第970話
――ああもう……! 結局兄上にやられ放題じゃないか……!
理不尽な怒りを覚えたが、どこか諦めている自分もいた。
兄のことだからどうせやりたい放題にやるだろうし、自分も兄の好きにしてくれた方が幸せだ。
それに――未知の体験にほんのちょっぴり期待していたりもする。新しい方法で兄にいじめられるのを楽しみにしている節もないわけではない。
もちろん、こんなこと絶対に口にできないけど……。
「よしよし、スカートよく似合ってるよ」
ズボンをはぎ取り、スカートを穿かせ、一人悦に入っている兄。
短い布から伸びている自分の足を見て、アクセルは深々と溜息をついた。まさかヴァルハラに来てスカートを穿く日が来ようとは。
「……って、おい!?」
当たり前のように下着まで脱がせようとしてくるので、そこはさすがに抵抗した。
兄の手を掴み、必死の形相で訴える。
「何してるんだよ兄上! 下着は脱がなくていいだろ!」
「でもこれ、丈短いし。下着が見えちゃったらかっこ悪いじゃない」
「スカートにかっこよさを求めるな! そもそも俺なんかがスカート穿いてること自体、格好つかないわ!」
「そんなことないって。お前、とっても可愛いよ。オーダーメイドしたのかっていうくらい似合ってるもん」
「似合ってなくていい! とにかく、下着は脱がないからな! さすがにノーパンで過ごすのは御免だ!」
「でもパンツない方がよくない? 持ち手が服に引っ掛からなくて楽だし」
「だとしても御免だ! こんな……いつ見えちゃうかわからないのに……!」
「見えたっていいじゃない。どうせ私しか見てないんだからさ」
「でも……」
「とりあえず、夜までは頑張ってみよう。で、明日からまたどうするか考えよう。鍛錬は継続が大事だからね」
「あっ、やめ……!」
抵抗も虚しく、結局下着も脱がされてしまった。ただでさえスカートが短いのに、下着までなくなってしまってはほとんど何も穿いていないに等しい。
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