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第974話
アクセルはしゅん……と肩を落とした。
自分ではよくわからないが、こういうところがまさに無自覚な証拠なのかもしれない。いつも近くで自分を見ている兄が言うのだから、意図せず危ない行動をとってしまっているのかもしれない。
兄の立場からすれば、お仕置きしたくなるくらい危なっかしいのだろう。
兄は重ねて言った。
「お前だって、知らない男に襲われたくはないだろう? 私以外の人に突っ込まれるのは嫌だよね?」
「当たり前じゃないか。兄上以外の人になんて、そんな……」
「だったらもう少し気をつけなさい。よくわからないものをもらったら、ちゃんと隠して持ってくること。無防備なのは相手にもすぐバレちゃうんだからね。……万が一知らないところでお前が路地裏に連れ込まれでもしたら、私はどうしていいか……」
「兄上……」
「わかった? だからちゃんと注意するんだよ。可愛くてエロいのはお前のいいところだけど、それが他の男を惹き付けることもあるんだからね」
「う、うん……」
可愛くてエロい……というのは、兄の感想なのではとも思うが。
アクセルはボールが出てこないように下肢に力を込めつつ、言った。
「兄上の気持ちはわかったが……そこまでいうなら、こんな格好させなきゃいいんじゃないか?」
「家の中はセーフなの! どうせ私とお前しかいないし」
「そういう問題なのか……?」
とりあえず、家の中ではどんな痴態を晒してもセーフということらしい。道理であの手この手でいじめられるはずだ。
――まあ、今更兄上の性癖は直らないだろうしな……。
こちらもほぼ諦めの境地である。もっとも、この兄が急に真面目になったとしたら、それはそれで恐ろしいが。
「ま、それはそれとして、空気椅子は続けなさいね。立ったまま食事するのは禁止。浅くてもいいからスクワットするんだよ」
「ええ……? そこは勘弁してくれる流れなんじゃ……」
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