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第976話

「う……うっ、はぁ……っ」  兄が殊更ゆっくりボールを引き抜いていく。弟のリクエストに応えてくれたのだろうが、抜き方がねっとりいやらしくてちょっと後悔しそうになった。これなら、一思いに抜いてくれた方がマシだったかもしれない。 「はう……っ、ん……」  最後のボールが外に出た瞬間、気の抜けた声が出てしまった。下半身が一気に楽になり、身体の真ん中に芯が一本通ったような錯覚に陥る。これが「体幹が鍛えられた」ということなのだろうか……。 「ねえ、どう? 以前よりしっかり直立できるような気がしない?」 「する、かも……。ちょっとやそっとじゃ転ばないような気がしてくる」 「だよね。体幹が強くなった証拠だよ。これで、重い一撃を真正面から喰らってもブレずに鍔迫り合いできるようになる」 「そうか。それは嬉しいな。これでランクも上がるだろうか」 「きっと上がるよ。足腰や体幹強化は、戦士にとって基本だけど一番大事なことだもの。このまま頑張っていればランキング一桁だって夢じゃない」 「一桁になったら、兄上と公式で死合いできるかな」 「もちろんさ。私はずっとそれを楽しみにしてるんだから」  兄が嬉しそうに笑ったので、アクセルも微笑み返した。  ――そうだよな。俺の一番の夢は兄上と死合うことなんだ。  ならばランキング一桁を目指して、もっと努力しなければ。兄と同じくらい強くなって、実力が拮抗した状態で命尽きるまで斬り合うのだ。想像するだけでわくわくする。 「ところでお前、こっちの方は大丈夫?」 「……っ!」  兄がスカートをめくり、尻の狭間を掻き分け、指先で窄まりを軽く押してくる。  今までずっとボールを咥え込んでいたせいか、そこは既に柔らかく解れ、兄の指先を美味しそうにしゃぶっていた。中から体液も沁み出し、溢れた涎が太ももを伝い落ちそうになっている。 「だ、大丈夫だ! 大丈夫だから!」  それでもアクセルは、兄の手を振り解いて距離を取った。

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