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第980話*
「んっ、く……う……」
「そうそう、いい感じ。もっと激しくやってみて」
「もっと……!?」
「そうだよ。いつも私がやってるみたいにさ。できるでしょ?」
「っ……」
兄の「できるでしょ?」は遠回しな「やれ」という意味だ。小さな頃からそういう風に刷り込まれているから、今更逆らうことはできない。
だけど……。
「っ、っ……」
できる限り手を動かし、アクセルは懸命に自慰を続けた。目を堅く閉じながら兄のやり方を思い出し、それに習って刺激を加えていく。
敏感な亀頭をグリグリ指で押し、強めに握りながら後ろの指を根元まで挿し込む。一本ではなくちゃんと三本挿れて、前立腺の裏側をごりごり刺激した。
でも……。
――だめだ、足りない……。
イきたいのにイけない。自分の動きはあらかじめ全部わかってしまうせいか、どんなに触っても思ったほどの効果は得られなかった。
むしろ中途半端に刺激を加えたせいで、余計に下肢がうずうずしてくる。欲しいところに手が届かず、もどかしい気持ちばかりが募っていく。
やはり兄にやってもらわないとだめなのだ。足腰が立たなくなってもいいから、最初から兄に触ってもらうべきだった。「絶対触るな」なんて言うんじゃなかった。
でも、今更「触って」なんて言うのも恥ずかしいし、自分で自分の始末さえできないと思われるのも嫌だし……。
「うう……ひっく……」
様々な感情が高まり、どうしていいかわからなくなって、とうとうアクセルは泣き出してしまった。やりかけた自慰も途中で放棄し、子供のように泣きじゃくる。
「ああもう、泣かないで。お前は本当に泣き虫だね」
兄がこちらに近づいて、目線を合わせてしゃがんでくる。それでもやはりこちらには触れて来ず、その徹底っぷりにだんだん腹が立ってきた。
「うっ……うっ……兄上の馬鹿……」
「ええ……?」
「何で触ってくれないんだよ……! こんな……俺にはできないって、わかってるくせに……! あんまりだ……!」
「ありゃ……」
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