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第989話*

「あっ、あっ! ああ、いやぁ……!」 「嫌なの? 苦しいのがなくなって、むしろ気持ちよくない?」 「で、でもこんな……あっ! あぁん……ッ!」  どろっ……と塊のようなものが出てきて、甘ったるい嬌声が上がってしまう。  こんなことで感じたくなかったが、腹の中が少しずつスッキリしていくのは事実で、苦痛から解放されていく爽快感は間違いなくあった。欲望も食い込んでいないから、下腹部を圧迫しているものもない。  不自由があるとすれば、頭上で拘束され続けている両腕だけだ。  ――ああそうか……。兄上はこれをやりたかったから、縛ったままにしたのか……。  中を掻き出そうとすれば、絶対に弟に抵抗される。それが面倒だったから、兄はあれこれ理由をつけて腕の拘束を解かなかったのだ。  まったく……この兄は綺麗な顔しているくせに、時々変態っぷりを発揮するから始末に負えない。  最終的に絆されてしまう自分も自分だが、子供の頃から敬愛し続けてきた兄にやられたら、抵抗できなくて当然ではないか。断じて俺が悪いわけじゃない。そういう風に教育した兄が悪いのだ。……多分。 「うっ……く」  またごぽっ……と中のものが溢れて来て、アクセルは唇を噛み締めた。  中を掻き回され、時々臍の下を軽く押されて、奥に溜まっているものを残らず出口に集中させられる。ここまでされると生理的な排泄感に勝てなくなり、張り詰めていた気持ちが一瞬ふっと緩んでしまった。 「うっ……!?」  その途端、出された白濁が勢いよく溢れてきた。腹を下したかのように、尻からぬめった体液が排出される。止めたかったが腹に上手く力が入らず、アクセルは泣きながら首を横に振った。 「ああ、いやだ……見ないでくれ、兄上ぇ……!」 「何で? 今更恥ずかしがらなくてもいいじゃない。お前を育てたのは私なんだから」 「そ、いう問題じゃ……あぁん!」  赤ん坊の頃ならいざ知らず、成人になればこういうのは見られたくないと思うのが普通だ。例えそれが育ててくれた人であっても、当たり前の羞恥は持ち合わせている。

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