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第995話*
同時に奥にたっぷり遺伝子を注ぎ込まれ、そのせいでまた腹が張ってしまった。
せっかく中を掻き出したのに、これではまたやり直しだ……と少しだけ憂鬱になったが、今は幸福の方がずっと強かった。
苦しいほどの愛情を浴び、酩酊気分で兄を抱き締める。
「……兄上、大好き……」
「うん、私も愛してるよ……可愛いアクセル」
優しいキスを落としてから、ようやく兄はゆっくり腰を引いて行った。
抜かれる瞬間、身体が名残惜しさを訴えて肉棒に纏わりつき、ちゅぽんといやらしい音が出てしまった。
「ふふ、なんだかノリにノっちゃったね。お前、身体は大丈夫?」
「……どの口が言うんだか……」
そんな心配するくらいなら、最初から手加減してくれればいいものを。本当にこの兄は欲望に忠実というか、こういう時はやりたい放題だ。
「っ……」
どうにか肘に力を込めて上半身を起こしたが、立ち上がろうとした瞬間、ズキンと腰に痛みが走った。案の定、やりすぎで腰を痛めてしまったみたいだ。歩けないほどではないが、荷物を持って外を出歩くのは少々辛いかもしれない。
アクセルは深々と溜息をつき、兄を見た。
「……兄上、明日アロイスのところに作ったスープを持って行ってくれ。あの鍋を抱えて歩くのはちょっとしんどい」
「おや、そうなの? でも私、アロイスくんの住所知らないんだよなぁ」
「……それは教えるから。やりたい放題やったのは兄上なんだから、責任とってくれ」
「もちろん責任はとるよ。でもお前、荷物持たなければ普通に歩けるよね?」
「まあ、ゆっくりめなら……」
「じゃあ鍋はお兄ちゃんが持ってあげるから、お前は道案内してよ。口で場所を説明されるより、そっちの方が間違いないって」
「ええ……? 明日はなるべく家にいたかったんだが……」
万が一外で粗相をしたら困ると思ったのだが、兄は真面目な顔でこんなことを言い出した。
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