1005 / 2012
第1005話
その後は、二人で並んで湯船に入った。さすがに大人の男が二人も入ってしまうと狭くて手足を伸ばせないため、お互い密着してお湯に浸かる羽目になった。
――庭の露天風呂、早めに作ってしまいたいな……。
どうせ風呂に入るなら、手足を伸ばして寛げた方がいい。兄と自分、それとピピが入っても余裕があるくらい、大きな湯舟を作ろう。せっかくアロイスに木材を切り出してもらったのだから、後は組み立てるだけだし……。
――あ、そうだ。明日はノコギリも受け取りにいかないといけないのか。
職人気質の鍛冶屋のエルフ。修理、改良しなければならない武器がたくさん溜まっていたが、一日あれば溜まっていた仕事も全部こなせるそうだ。ぶっきらぼうだが、腕は確かなようである。
……もっとも、体幹強化と謳っておきながら、あんなわけのわからんボールチェーンを他人に渡すところからして、性格は結構な変態なのかもしれないけれど。
「さて、今日の夕飯は何にしようかな」
夕食までまだ時間があるというのに、兄はもう食事のことを考えている。この旺盛な食欲は一体どこから来るのかと、時々不思議に思う。生前はここまで食欲旺盛ではなかったような気がするのだが……気のせいだろうか。
――まあ旺盛なんて言ったら、性欲も相当なものだけどな……。
自分で言うのもなんだけど……と思いつつ、アクセルは服を着て庭に出た。用意した木材を庭に置きっぱなしだったので、今日のうちに整理整頓しておこうと思ったのだ。その方が、いざ組み立てる時に効率がいい。
「……う」
早速台車から木材を下ろしてみたが、三本ほど下ろしたところでだんだん腰が痛くなってきた。先程兄にやられまくったせいか、腰の踏ん張りが利かなくなっているようだった。日常生活は送れるものの、これでは鍛錬や力仕事ができない。
「ぴー……」
腰の後ろに両手を当て、ぐぐっ……と背中を反らしていると、ピピが心配そうに駆け寄ってきた。
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