1009 / 2012

第1009話

「どうしたんだ?」 「あのさ……お前から見て、私の食欲はどう思う?」 「え。それはまあ……旺盛だなと思うぞ。生前はここまで大食いじゃなかった気もするけど、戦いに明け暮れていたら腹が減るのは当然だ」 「……そっか……」 「食料のことを気にしてるなら、今度狩りに付き合ってくれ。大物を仕留めてくれば、しばらく肉には事欠かないだろう」 「そうだね……。近いうちに山登りしようか」  小さく笑い、兄は食事を続けた。アクセルもそれ以上気に留めることはなく、軽めの食事を続行した。  食事を平らげ、食器や鍋を全部洗い、寝る前のストレッチをしてベッドに入った。腰回りを重点的にストレッチしたら、昼間からの腰痛がだいぶ軽減した。この調子なら、明日はランニングくらいできるかもしれない。 「ねえ。お前、明日はアロイスくんのところにスープ持って行くんだよね?」 「ああ、その予定だが」 「じゃあそれ終わったら私、ちょっと出掛けてきていい? 気になることがあって」 「いいけど……どこ行くんだ? 遅くなるのか?」 「うーん……まだよくわからない。何もなかったらすぐ帰ってくるよ」 「何もなかったらって……」  気になって、アクセルは寝ようとしていた身体を起こした。何か怪しい雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。 「何をしに行くんだ? ざっくりでいいから教えてくれ」 「ああいや、健康診断みたいなものだよ。最近、やたらと食べすぎちゃってるから、体調が気になるんだよね」 「……なんだ、そういうことか。確かにさっきもたくさん食べてたしな。気になるなら早めに行ってきた方がいいぞ」 「ありがとう。何もないと思うけど」 「いや、油断はよくないよ。結果がわかったら教えてくれ。もしメタボになってたらダイエットメニュー考える」  そう言って、今度こそ掛け布団に潜り込んだ。  ――俺もそのうち健康診断してみようかな……体脂肪率とか気になるし……。  そんなことを考えていたら、朝まで熟睡してしまった。

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