1019 / 2012

第1019話

「ありがとう、アロイス。とりあえず、ランゴバルト様のところに行ってみるよ」 「おう! 門前払いされるかもだけど、頑張れよ!」 「う、うん……」  門前払いか。ますます気が重くなってきた。  ――いや、ここは俺が頑張らなくちゃ。兄上のためなんだから。  いつも世話になりまくっている分、兄が困っている時くらいは力になりたい。そういう症状が出た時はどうすればいいのか、どこに行けば治るのか、治るまでにどのくらいかかるのか、治療している間家族はどうサポートすればいいのか……等々。そういった情報をちゃんと得てからでないと、兄のところに帰れない。  そう己を奮い立たせ、アクセルはランゴバルトの屋敷を訪ねた。  ランゴバルトが住んでいるのは、上位ランカーがたくさん生活している特別区である。建物自体はシンプルな平屋だったが、ランキング二位の戦士(エインヘリヤル)にふさわしく、相当広い土地を保有しているようだった。  ――ていうか、ランゴバルト様って自分の庭に闘技場持ってるのか……?  広大な庭に死合い会場と似たスタジアムがあったので何かと思ったら、どうもランゴバルト専用の闘技場らしい。  戦闘大好きのランゴバルトは自宅にいながら本格的な鍛錬ができるように、自分の庭にオリジナルのスタジアムを作ってしまったようだ。専用の修行場を持っているケイジにも驚いたが、専用のスタジアムを持っているのも十分驚きである。まったく、上位ランカーはスケールが大きいというか、何というか……。  ――ランクが高くなると、いい意味でやりたい放題なんだな……。  彼らに比べれば、ランキング三位の兄・フレインは普通の生活を送っていると思うが、よくよく考えればうちにも広い庭があるし、そこで巨大なうさぎの神獣を飼っている。それだけ裕福なのは、上位ランカー様様なのかもしれない。  ――俺ももっと頑張らないとな……。  上位ランカーの恩恵にあやかるのではなく、自分自身がランクを上げなくては。

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