1022 / 2012

第1022話

 ――あまり気が合うとは思えないけどな……。  とはいえ、模擬戦自体は勉強になる。アクセルは離れたところで見学させてもらうことにした。 「グオオォォ!」 「ハアァァッ!」  獣のような雄叫びを上げ、武器を叩き合わせる二人。金属同士がぶつかり合った瞬間、ガキンと火花が飛んでお互いの顔に降りかかった。 「ほらよっ!」  黒塗りの甲冑を全身に纏っているランゴバルトに対し、ジークは最低限の防具しか身につけていない軽装である。当然のことながら動きはランゴバルトより素早く、相手が大戟を一振りする間にお得意の槍で五段突きをかましていた。太刀筋も正確でブレがなく、槍の穂先が全てランゴバルトの首元に吸い込まれているように見えた。  一方のランゴバルトも、ヘビー級の巨体を活かして大戟を振り回している。甲冑の重さや動きにくさをものともせず、ジークの攻撃を弾き飛ばし、空いた拳を突き出していた。  ――す、すごいな……。  二位と五位だから、模擬戦でも相当すごい戦いになるだろうと思っていたが、模擬戦ということを忘れてしまいそうなくらい白熱している。狂戦士モードありでやっているらしく、お互い本気で斬り合っているのに動きが鈍ることは全くなかった。  ランゴバルトの羽根飾り兜ごと吹き飛ばされたかと思ったら、ジークの左肘が吹っ飛び、槍が肩当ての隙間に刺さり、大戟がジークの腹部を掠める。  これもう本気の死合いだぞ……と手に汗握っていると、 「ランゴバルト様ー! お時間ですよー! そのくらいにしましょー!」  いきなりコニーが二人に向かって大声を出した。さすがにアクセルもぎょっとした。 「ちょっ……そればヤバいだろ。逆ギレされるぞ」  ランゴバルトは戦いに水を差されるのを何よりも嫌う人だ。下手に止めようものなら、止めた第三者が殺される可能性もある。彼の殺意がこちらに向いてもおかしくない。

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