1035 / 2012

第1035話

 あれこれ悩みつつ、アクセルは家まで戻った。  寝ている兄をベッドに寝かせ、散らかった部屋をせっせと片づける。血塗れの食器は全部洗い、破れた衣服や割れた食器は処分、汚れた場所も綺麗に掃除した。血の臭いが強烈だったので、脱臭をするのに苦労した。  ――そういや、買い物袋どこにやったっけ……?  たくさんの食料を買ってきたはずが、衝撃的なことが立て続けに起こったのでどこに置いたか忘れてしまった。  リビングのテーブルにはなかったから、あと自分が置き忘れそうな場所といったら……。 「……あ。あった」  袋はピピの小屋の前に無造作に置かれていた。置いたというより落としたといった方が正しいか。  中に入れていた食料は落とした衝撃で散らばっており、りんごやにんじん等の食材が袋からこぼれていた。卵が割れていないか心配だったが、他の野菜が緩衝材になったおかげか何とか無事だった。  兄がいつ起きてきてもいいように、後でたっぷり食事を用意しておかないと……。  ――ピピの小屋、もう解体しちゃった方がよさそうだな……。  もともとボロくなっていた上、兄が暴れたせいで血痕がこびりついている箇所もある。前々から新しい小屋を作るつもりで木材も用意してあるし、さっさと新しい小屋を建ててしまった方がいいかもしれない。  もっとも、肝心のピピはもう戻ってこないかもしれないけど……。  ――それでも、いつ帰って来てもいいように準備だけはしておかなくては……。  アクセルは武器庫から解体用のハンマーを持ってきて、古い小屋をせっせと取り壊した。そして切り出してあった木材を組み立て、一回り以上大きな小屋を作った。 「……よし、こんなもんか」  いろいろあったが、やっと完成した。あとは露天風呂を作れば当初の目的は達せられる。  ……まあ、みんなで仲良く入るのは当分先になりそうだが。

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