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第1055話

「ピピ、アクセルすき。ずっといっしょ」 「ピピ……」 「アクセルといっしょ、ピピたのしい」  ピピはおとなしく洗われながら、リラックスして言った。  ――本当にピピがいてくれてよかった……。  可愛くて賢くて、何があっても純粋にこちらを慕ってくれる。一度ペットを飼ったら二度と手放せなくなるというけれど、確かにこれは何物にも代えがたい癒しだ。兄とは違う意味で大切な存在である。  アクセルはより丁寧に毛並みをブラッシングしつつ、しみじみと言った。 「ありがとう、ピピ。俺もピピが一緒だと楽しいよ。ピピのおかげで、何度孤独を慰められたことか……」 「ぴー」 「危険なこともあるかもしれないけど、これからもずっと一緒にいような」 「ぴー♪」  嬉しそうにうんうんと頷き、ピピはじっとシャワーを浴びた。  泡が白くなるまで石鹸で洗い、何度もお湯で濯ぎ、ついでに自分も身体を洗って、それからタオルでお互いの水気を拭き取った。ピピは身体が大きいせいか、バスタオルを三枚も消費してしまった。  ――そうだ、洗濯物もだいぶ溜まってるな……。  昨日はバタバタしすぎてて、家事全般を丁寧にやっている余裕がなかった。炊事はしたけど、それだけだ。今日は掃除・洗濯をして、終わったら庭に露天風呂を作って、それが終わったら自分の用事に取り組もう。 「じゃあピピ、俺は朝ご飯を作ってくるからな。何かリクエストはあるか?」 「やさいすーぷ、ふれんちとーすと」 「わかった、それは作るよ。他にはないか?」 「おおきなぷりん」 「プリンか。いいけど、フレンチトーストとちょっと被ってないか? 食べたいならプリンは昼で、朝はヨーグルトにするってどうだろう」 「ぴー」 「それでいいか。じゃ、代わりにヨーグルトにフルーツいっぱい入れてくるよ。お楽しみに」 「ぴー♪」  ピピはパタパタ耳を上下させ、ベランダ付近で待っていてくれた。

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