1055 / 1998
第1055話
「ピピ、アクセルすき。ずっといっしょ」
「ピピ……」
「アクセルといっしょ、ピピたのしい」
ピピはおとなしく洗われながら、リラックスして言った。
――本当にピピがいてくれてよかった……。
可愛くて賢くて、何があっても純粋にこちらを慕ってくれる。一度ペットを飼ったら二度と手放せなくなるというけれど、確かにこれは何物にも代えがたい癒しだ。兄とは違う意味で大切な存在である。
アクセルはより丁寧に毛並みをブラッシングしつつ、しみじみと言った。
「ありがとう、ピピ。俺もピピが一緒だと楽しいよ。ピピのおかげで、何度孤独を慰められたことか……」
「ぴー」
「危険なこともあるかもしれないけど、これからもずっと一緒にいような」
「ぴー♪」
嬉しそうにうんうんと頷き、ピピはじっとシャワーを浴びた。
泡が白くなるまで石鹸で洗い、何度もお湯で濯ぎ、ついでに自分も身体を洗って、それからタオルでお互いの水気を拭き取った。ピピは身体が大きいせいか、バスタオルを三枚も消費してしまった。
――そうだ、洗濯物もだいぶ溜まってるな……。
昨日はバタバタしすぎてて、家事全般を丁寧にやっている余裕がなかった。炊事はしたけど、それだけだ。今日は掃除・洗濯をして、終わったら庭に露天風呂を作って、それが終わったら自分の用事に取り組もう。
「じゃあピピ、俺は朝ご飯を作ってくるからな。何かリクエストはあるか?」
「やさいすーぷ、ふれんちとーすと」
「わかった、それは作るよ。他にはないか?」
「おおきなぷりん」
「プリンか。いいけど、フレンチトーストとちょっと被ってないか? 食べたいならプリンは昼で、朝はヨーグルトにするってどうだろう」
「ぴー」
「それでいいか。じゃ、代わりにヨーグルトにフルーツいっぱい入れてくるよ。お楽しみに」
「ぴー♪」
ピピはパタパタ耳を上下させ、ベランダ付近で待っていてくれた。
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