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第1058話
あらかじめ切り出しておいた材木を並べ、釘とハンマーで組み立てていく。ピピも積極的に重い木材を運んでくれた。可愛いアシスタントだ。
黙々と露天風呂を作り続け、ようやく膝の高さくらいのところまで木材が積み上がる。ピピも入れるくらい大きなものを作っているので、なかなか目的の高さまで積み上がらず、途中で木材がなくなってしまった。これはまたアロイスにお願いして材料を切り出してもらうしかなさそうだ。
――そしたら、あらかじめお礼のスープを作った方がいいのかな……。
アロイスの故郷の味という、豆を煮込んだスープ。この間は適当に塩・こしょうで味付けしたけれど、「美味いけどなんか違う」と言われてしまった。
彼の話では「もっと酸味があった」ということだが、それがどういう味なのかあまり想像がつかない。
「……ちょっと研究してみるか」
「ぴ?」
「ああいや、こっちの話だよ。アロイスの故郷の味っていうのを再現してあげたくて」
「ぴ……」
「まあとにかく、今日のところは材料なくなったからここまでだな。夕食の準備をしてくるよ。ピピ、手伝ってくれてありがとう」
「ぴー♪」
よしよしと撫でてやったら、ピピは尻尾をふりふりして喜んでいた。
アクセルは道具を片付け、夕飯を作りにキッチンに入った。……本当に今日は、食事の準備ばかりしている気がする。料理は嫌いじゃないけど、たまには上げ膳据え膳でいきたいな……などと思わんでもない。
――というか、今日はみっちり鍛錬している時間がとれなかった……。
家の雑用が多かったからだろう。洗濯物をしているだけで午前中は潰れてしまったし、午後は露天風呂を途中まで作って終わってしまった。
まあ、露天風呂を作ること自体は木材を運んだりハンマーを振り下ろしたりするので鍛錬にならなくもないが、こういった雑用は早めに片付けないと鍛錬場にも行けない。
兄がいてくれたら雑用も少しは減るのに……と、しょうもないことを考えつつ、包丁で肉や野菜を切り刻んだ。
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