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第1080話

 ピピに「しばらくここに隠れて待っているように」と言いつけ、アクセルは例の公園に向かった。 「……!」  当たり前に公園内に足を踏み入れようとしたが、今回は何故か人がいた。しかも問題の枯れ井戸を囲むように、三人もの職員が周りを見張っている。  アクセルは堂々と歩いて行こうとするミューを引っ張り、急いで公園の茂みに身を隠した。  ――何でこんなところにも見張りが……。  ほとんど何もないような寂れた公園だから、誰かが突っ立っているだけで目立ってしまう。隠れるような物陰もないし、井戸に近づいた途端強引に追い返されそうだ。  さて、どうしたものか……。 「んー……全部で三人? あれなら三秒でKOかな」  と、ミューが目だけを動かして様子を伺う。既に彼は、愛用の巨大首切り鎌に手をかけていた。 「ね、ちょっとやってきちゃっていい? すぐ倒してくるからさ」 「実力行使か……。ここで暴れて大丈夫かな」 「大丈夫でしょ。正門だったら施設から見えちゃうけど、ここなら誰にも見られないし。パパーッとやっちゃう分にはバレやしないって」 「……そうか。ならくれぐれも……」  時間をかけないように、と言うよりも先に、ミューはサッと茂みから飛び出して首切り鎌を一振りした。  枯れ井戸を囲むように見張っていた三人は、突然飛び出してきたものが何なのかわかっていないようだった。  武器を構える間もなく、叫ぶ隙も与えられないまま、三人の首が一瞬にして跳ね飛ばされた。飛ばされた首が、一瞬だけ驚愕したように口を開けた。  結局ミューは二秒も経たずに、見張りの職員を全員血祭りに上げてしまった。 「相変わらずすごい腕だな……。しかし、殺しちゃって大丈夫だったのか?」  転がってきた首を見てちょっと顔を引き攣らせつつ、アクセルは尋ねた。 「この人たちは戦士(エインヘリヤル)じゃないから、棺に入れたら元通りってわけにはいかないだろ」

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