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第1090話

 隣の部屋は、海岸とは打って変わった普通の室内だった。書庫のような場所で、壁沿いにズラリと本棚が並んでおり、そこにギッシリ本が詰まっている。天井も高く、一番上の本は梯子か脚立がないと取り出せないだろうと思われた。  ヴァルハラの図書館をも連想させ、ちょっと親しみを覚えてしまう。 「あー、ここも懐かしいなー。暇な時はここで読書ができるんだよねー」  と、ミューが部屋の中に入っていく。 「僕がいた時はあったけど、隠し本棚ってまだあるのかなー?」 「隠し本棚? それってどこかに繋がってたりするのか?」 「いや、本棚自体は普通の本棚だよ。並んでる本が秘蔵の図書だったりするの」 「ああ、そういう意味か……」  中に誰もいないようだったので、アクセルも一緒に部屋に入った。  ――そういや最近、本を読んでいる時間もなかったな……。  読書は大事な娯楽だ。教養を身につけるという意味でも、本を読んで損はないと思う。  家に帰ったらたまには図書館に行こうかな……などと考えていたら、ミューがとある本棚をズズッと横にスライドさせた。壁があるのかと思いきや、そこには別の小さな本棚が埋め込まれており、そこにも何かの本がギッシリ並んでいた。どうやらこれが隠し本棚のようだった。 「わー、あったあった! やっぱりストレス発散にこういう本は欠かせないよねー!」 「? ストレス発散? どういう意味だ?」 「んー、アクセルはどういうのが好みー? 結構エグいのもあるよ?」 「……え?」  何かと思い、ミューが差し出してきた本をパラパラとめくる。一体どういう内容なのかと思ったら、唐突に挿絵が出てきてアクセルは目を剥いてしまった。 「うわぁ!」  慌てて本を閉じ、強引に本棚にその本を押し込む。  ちょっとしか見なかったが、その挿絵は……何というか、とても過激でエロいものだった。  受けと見られる男性が三人の屈強な男性に組み敷かれ、代わる代わる犯されている。尻に極太の性器が突き刺さり、口にも欲望を突っ込まれ、自分のそれをも男に舐めしゃぶられていた。

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