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第1096話*

 兄のことは好きだが、だからといって誰が本物かわからない相手にまで犯されたくない。  それに、今は施設に忍び込んでいる最中だ。こんなことをしている場合じゃないし、大事になる前にヴァルハラに帰りたい。 「ま、待ってくれ兄上! 今やるのはさすがにマズいって!」 「どうして? お前だって久しぶりに私に会えて嬉しかっただろう?」 「一ヵ月以上も触れてなかったら、溜まっていて当然だよ。たっぷり発散させてあげるから安心して」 「細かいことは気にせず、一緒に楽しもう」 「で、でも俺は……あっ、だめ……っ!」  するりと下着まで取り除かれてしまい、いよいよ全裸にされてしまう。股間を覆うものがなくなり、外気がやたらとひんやり感じた。  ――嘘だろ……!?  もう何がなんだかわからない。こんな状況だけど、頭が真っ白になりそうだ。  なんで兄が三人もいるんだ。誰か一人は本物なのか? それとも全員偽物なのか? 顔も声も言動も兄そのものだから、これだけではどうにも判断できない。本物と偽物を間違えて斬ってしまったら一大事だ。  でも、このままでは兄三人にマワされることは明らかだし、そんなことしている場合じゃないのもわかっている。何とか抵抗したいけど、自分一人では兄三人の力にはかなわない。逃げたくても逃げられない。  どうしよう……どうしよう……。 「あっ……!」  兄の一人に両膝を割られ、左右に大きく脚を開かされる。パカッと開いた両脚の間に別の兄が身体を滑り込ませてきて、閉じたくても閉じられなくなった。 「だ、だめだ兄上! やっぱりこんなの間違ってる!」 「ええ? お前は私のやることを否定するの?」 「そうじゃなくて……! せめてこの状況を説明してくれ! あなたは……あなた達は一体何者なんだ!?」 「それはさっき言ったじゃない。施設にいる間に私が増えたんだって」 「そうそう。私は私。誰かの変身でもないし、ましてや魔法でもない。全員本物だよ」 「っ……!? そ、んな……そんなことあるわけ……」

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