1129 / 2012
第1129話
「ありがとう、兄上。あなたがいてくれれば、俺も安心して獣化できるよ」
「えー、何それ? 獣化する前提? そこはなるべく獣化しないように頑張ってよ」
「はは、そうだな」
そう笑いながら、アクセルは久々の朝食を楽しんだ。
その後、食器を片付けて簡単な軽食を用意している間、兄はラグナロク前の掲示板まで自分のランクを確認しに行った。
そして戻って来るなり、やや肩を落として言った。
「あーん、やっぱりランク下がってたー」
「それはしょうがないよ。ちなみに、何位だったんだ?」
「六位。なんか一気に下がっちゃった感じ」
「……え、そうか? そんなの下がったうちに入らない気がするが。二位~七位くらいまでは団子状態なんだろ?」
「そうなんだけど、また彼らと微妙なポイント調整をしなきゃならないのかと思うと地味にめんどくさくて」
戦士 のランクは、死合い結果によるポイントで判定される。自分よりランクの高い戦士を倒せばポイントが多くもらえて、ランクが低いと入るポイントも少なくなる仕組みだ。
シンプルでわかりやすいシステムだとアクセルなどは思っているが、兄のような上位ランカーになると微妙なポイント調整をしなければならなくなってくるらしい。
――まあそうか。ミューみたいなランキング一位の戦士は、死合いに勝ったところでほとんど自分のポイントにならないんだもんな……。
一度も死合いに負けていないのに、ポイントが入らないからランクが下がる。たまたま運よく上位ランカーを負かしただけの下位ランカーに抜かされる……なんて現象も起こり得るわけだ。
でも実力的にはたまたま勝利した下位ランカーより、上位ランカーの方が上なのは明らかなので、そういうことが起こらないためにも実力の近い上位ランカー同士で戦ったり、死合い相手の変更を行ったりと、いろいろ裏工作をしなければならないそうだ。
上位ランカーでい続けるのも、地味に大変である。
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