1141 / 2012
第1141話
体幹を強化するなら、もっと別の方法を考えよう。何ならケイジに効果的なトレーニング方法を教えてもらえばいいんだし。
まずは太刀筋と腕力とスタミナだな……と思い、アクセルは兄に倣ってせっせと腕立て伏せを行った。
兄・フレインは腕力に優れているので、一振り一振りがかなり重い。小太刀二振りで受け止めても、正面から鍔迫り合いしたら押し負けてしまう。
だからせめて少しでも拮抗を保てるように、腕力を鍛えようと思ったのだ。
――近いうちに、今の兄上と手合わせしてみたいな……。
お互いがどれくらいの力量なのか、確かめてみたい。兄は「力が落ちた」と嘆いているけれど、アクセルは言うほど落ちていないのではと思っている。
兄が帰ってきたら、手合わせのお願いでもしてみようか。二人きりだと収集つかなくなりそうだから、誰かにジャッジ役も頼んでみよう。
そうして昼までせっせと鍛錬に打ち込み、空腹になったタイミングで昼食を作った。
今日の昼食は、卵やローストビーフを挟んだサンドイッチである。今朝食材を買ってきたばかりなので、ボリュームたっぷりなサンドイッチが作れた。兄も喜ぶだろう。
「……それにしても、兄上遅いな」
時計を確認したら、午後一時を過ぎていた。
この時間までずっと鍛錬しているのなら、そろそろ空腹になって帰ってくるはず。
一体どこで何をしているのだろう。それとも、外で昼食を食べているのだろうか。それならそれで、夕食にサンドイッチを回せばいいだけだが……。
「ただいまー」
その時、ちょうど兄が帰ってきた。当たり前に帰ってきたので、ちょっとホッとした。
「おかえり。サンドイッチできてるぞ」
「わあ、ホント? ちょうどお腹空いてたんだよ。さすがうちの弟は気が利くね」
ササッと手を洗い、嬉しそうにサンドイッチにかぶりつく兄。
アクセルも一緒に食事をしつつ、尋ねた。
「それで、どこ行ってたんだ? 鍛錬場か?」
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