1146 / 2012

第1146話

 ずっと自分ばかり家事を任されるのは不公平だから、夕食の片付けは兄にやってもらおう。  そう思いつつ昼食に使った食器を片付け、アクセルは庭に出た。そして夕方までみっちり鍛錬を行った。  最近、自分もまともな死合いがなかったから――いや、あったことはあったが、兄がいない期間に行われたのであまり身が入らなかったのだ――もう少し真面目に鍛錬しないと実力が落ちてしまう。  一週間後に手合わせすると約束したのだから、せめて万全のコンディションで挑みたい。  ストレッチ、走り込み、素振り、腕立て伏せ、腹筋……等々、鍛えられるところは鍛え、そろそろ限界かなと思われるところで切り上げて家に戻った。 「はあぁ……」  お気に入りのハチミツ入りレモン水をがぶ飲みし、乾いたタオルで汗を拭う。  久々にみっちり鍛錬した気分だ。いや、毎日鍛錬はしてきたつもりだが、鍛錬だけに集中できたのは久しぶりかもしれない。  ――気掛かりなことがないっていうのは、幸せなことだな……。  兄もそろそろ帰ってくるだろう。それに合わせて夕食の準備でもしておくか。  軽くシャワーをして汗を流し、室内着に着替える。  さて夕食は何にしよう……と今ある食料と相談していたら、兄が帰ってきた。 「ただいま! 夕飯は何かな?」 「おかえり。今考えてるところだよ。兄上は何がいい?」 「あ、じゃあお肉たっぷりの鍋がいいな。久しぶりにあの土鍋を使いたいんだ」 「わかった。準備しておくから、兄上はシャワーでもしてくるといいよ」  そう言ったら、兄は上機嫌で浴室に向かっていった。楽しそうで何よりだ。  アクセルは食料庫から肉や野菜をごっそり取り出し、適当にざくざく切っていった。  どうせ鍋にするなら野菜もたくさん採りたい。兄はお肉大好きだが、自分はじっくり煮込まれた野菜も好きだ。  すると、ものの一〇分ほどで兄が戻ってきて、 「おお、具材がたくさんだ。美味しそうだね~! 早速煮込んじゃおうか」 「気が早いな……。そんなにお腹が空いているのか?」

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