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第1158話

 何気なく聞いたら、ピピはこんなことを言い出した。 「ピピ、すてーきたべた」 「……え? ステーキ? ピピも朝からステーキ食べたのか?」 「フレイン、おにくすき。フレインがつくると、ピピのごはん、おにくになる」 「……そうか」  ピピは雑食なので、普通に肉も食べられる。が、消化の関係で野菜の方が胃に負担がかからないのだ。  明日は俺が料理しよう……と思いつつ、庭を十周ほどランニングした。  その後はいつも通り腕立て伏せや腹筋等の筋トレをし、素振りしたり太刀筋矯正を行ったりと、そこそこ充実したトレーニングができた。せっかく兄と手合わせするんだから、自分のコンディションはしっかり整えておかないと。 「アクセル~! ちょっと来てー!」  タオルで汗を拭っていたら、兄が呼びに来たので何かと思い家に戻った。 「どうしたん……って、本当にどうしたんだこれは?」  大型の家具が部屋の隅に移動されていて、水の入ったバケツや雑巾、埃をとるモコモコの棒なども用意されている。  これは明らかに大掃除だが……何故唐突に大掃除を始めてしまったのだろう。ここまで大規模な掃除なら、二人で手分けしてやった方が効率がいいと思うが。 「ベッドのシーツをまるまる洗濯したら、他のところも気になってきて。せっかくだからこの機に大掃除しちゃおうと思ったんだ。食器棚移動させたいから手伝って」 「はあ、いいけど……」  アクセルは兄に連れられてキッチンに行き、食器棚をリビングまで運んだ。  大掃除を始めたくせに兄は変なところがズボラで、食器が入ったまま食器棚を運ぼうとしていたから慌てて全部の食器を外に出した。このまま運んで中で割れたら一大事だ。 「掃除するなら最初から俺も手伝ったのに」  広くなったキッチンを隅から隅まで綺麗に水拭きしつつ、アクセルは言う。 「なんか兄上、昔から唐突に掃除し始めることあるよな。普段は掃除も適当なのに」 「いやぁ、何でだろうね? 小さな汚れはあまり気にならないけど、大きなものを綺麗にしようとするとついでに……って思っちゃうのかな」

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