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第1162話

 まあいいや。とにかく詳しいルールを把握してこよう。  アクセルは掃除道具を置き、キッチンで掃除を続けている兄に声をかけた。 「兄上、俺今から世界樹(ユグドラシル)まで行ってくる。ランクマッチのことを確認してくるよ」 「ランクマッチ? 何だっけそれ?」 「死合いとは別に、新しいバトルが来月から開催されるらしい。普段の死合いとはいろいろルールが違うらしいから、今のうちに把握しておきたいんだ」 「あー、そういや昨日だか一昨日だかランク確認に行った時、大きな看板が貼り出されてたなぁ。字がびっしり並んでたから、めんどくさくて内容確認しなかったけど」  ……やっぱりそうか。まあ予想通りだ。  苦笑いしつつ、アクセルは言った。 「そういうわけだから、ちょっと出掛けてくるよ。昼前には戻ってくるから昼食を用意しておいてくれると嬉しい」 「いいよ。ボリュームたっぷりのお肉のサンドイッチ作っておいてあげるね」 「あ、ありがとう……。もう少し野菜も入れてくれた方がいいけどな」  一度庭に下り、ピピにも声をかけてから世界樹(ユグドラシル)まで歩いた。一人で行くつもりだったのだが、ピピが「いっしょにいく!」とついて来たためすれ違った戦士の一部に少し羨ましがられた。神獣をペットにしている人はかなりレアなのだ。 「うわ……思ったより大きいぞ……」  世界樹(ユグドラシル)の前に立てられた看板に少々慄く。  いつものランキング発表やスケジュール一覧はせいぜいA3くらいの大きさしかないのに、今回の看板は大教室のスライド黒板並みに大きかった。その上の貼り紙にびっしり文字が書かれているので、見た瞬間読む気が失せてしまう。 「……これは骨が折れそうだな。サッと行ってパパッと確認するつもりが」 「ぴー……」 「まあしょうがない。兄上のためにも、頑張って読み込むとしよう」  アクセルは気合いを入れて、貼り紙の冒頭から目を通した。

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