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第1163話

 それによると、新しく開催されるランクマッチは一ヵ月ごとにルールが変更になり、その時に応じて「飛び道具禁止」とか「神器使用OK」とか、いろいろ設定されるようだ。あと、場合によっては複数人でのチーム戦になることもあるらしい。  公式死合いは一対一のタイマンバトルなので、これはなかなか面白い試みだ。  組み合わせも現在のランクとは関係なくランダムで選ばれるらしいので、ミューの言った通り一位の戦士と最下位の戦士が組む可能性もゼロではない。  ――なるほどな……こっちは結構娯楽性が強そうだ。  どうして突然ランクマッチが開催されることになったのかはわからないが、こちらとしては戦うチャンスが増えるので普通にありがたい。いい勉強になりそうだ。 「……で、こっちは注意点か」  おおまかなルールの後に、赤文字で大きく「注意!」と書かれていたのでそちらも目を通してみた。 「何なに……? 『ルール違反があった時のペナルティーは、①ポイント減点、②ランク降下、③一定期間死合いの出場停止』……ってマジか。意外と厳しいんだな」 「ぴ?」 「公式死合いとは全く別物って言ってるけど、ペナルティーはランキングに直結するから気を付けないとダメなんだな。毎回ルール変わるから、記憶違いがないようにしないと」 「ぴ……」 「はは、大丈夫だよピピ。兄上はその辺かなりルーズだけど、俺はちゃんと気を付ける。ルール違反でランクが下がるなんて、そんなアホなことしたくないしな」  心配そうに鼻面を寄せてくるピピを、よしよしと撫でてやる。 「よし、じゃあ一旦戻るか。おおまかなところはだいたいわかったし、細かいところはメモを取りながらまた把握しに来よう」  これだけの文章、どうせ一回読んだだけじゃ覚えられない。ランクマが始まるのは一ヵ月後だし、今日は大事なところだけ頭に入れておくとしよう。  そう思い、アクセルはピピと一緒に家に帰った。  家では兄が、綺麗になったリビングに昼食を並べているところだった。

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