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第1167話

 ――兄上といいミューといい、何で上位ランカーは大食い率が高いんだろうな……。  薄く苦笑いしつつ、新しくパンケーキを焼いてミューに出してやった。  結局三人は、夕方近くまで茶を飲みながらうちに居座っていた。 ***  それから一週間が経った。  大量のメモと睨めっこしながら、アクセルはテーブルに突っ伏した。 「ああ、もう……」  間違った解釈はNGだと思って、あれから毎日掲示板に通ってメモを続けたのだ。  本当は兄と手合わせをする予定だったけれど、あまりにルールが細かくてタイミングを逃してしまい、未だに手合わせできていない(あの大きな看板一枚で終わりかと思いきや、裏にまだ続きがあって、これでもまだ半分だった)。  早く手合わせしたいのに……何でこんなところに時間をとられないといけないんだろう。 「まあまあ、そう落ち込まないで」  と、兄が温かいココアを淹れてくれる。 「手合わせはいつでもできるんだ。今はルールの把握の方が大事だよ」 「それはそうなんだが……こんなに細かいなら、最初からルールブックを作って配布して欲しい」 「確かに。というか、いちいち手書きでメモするより、あそこの貼り紙を全部コピーして冊子状にまとめた方が明らかに効率いいよね」 「でも、それをやろうとしたら怒られたじゃないか。頭の堅いヴァルキリーに」  コピーのためにちょっと剥がそうとしただけなのに、唐突にヴァルキリーが現れて頭ごなしに怒られたのだ。いくら「ルールを把握するためだ」と言っても聞く耳を持ってくれなかった。 「戦士(エインヘリヤル)ごときが勝手に貼り紙を剥がすなど言語道断です」  ……だの、 「そんなの読んで覚えなさい。戦士(エインヘリヤル)は頭も悪いのですか」  ……だの、嫌味どころかストレートに侮られてげっそりしたものである。 「……ヴァルキリーってああいう人ばかりなのかな。もう少し言い方変えればいいのに」

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