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第1173話

「そういうわけだから、役に立たないとかって卑下する必要全くないからな。そもそもヴァルハラに招かれている時点で一流の戦士なんだ。ちょっとした相性不利くらいで、コニーの強さは変わらないよ」  一生懸命フォローしたら、何故か小さく笑われてしまった。 「ふふ、わかってますよ。ありがとうございます。噂通り、根っからのいい人なんですね」 「……え? 噂通りってなんだ?」 「ほら、うちにはランゴバルト様のお相手として上位ランカーがよくいらっしゃるでしょう? その時、たまにアクセルさんの話題になるんですよ。特にジーク様がフレイン様の愚痴をこぼす中、『あんなメンヘラ男が兄貴で、アクセルも大変だな』と。『よっぽどのお人好しじゃなきゃアイツには付き合いきれん』と仰います」 「あー……いや、それは……ははは……」  アクセルは曖昧に微笑んだ。  面倒見のいいジークにすら「メンヘラ男」と言われてしまう兄は、一体どれだけかまってちゃんなのだろう。自分にはそこまでメンヘラではない気がするが……生まれた時から一緒なので、あまり気にしたことがない。 「まあでも、上位ランカーは皆さん個性的な方が多いですよね。ランゴバルト様も、ああ見えて意外と繊細な面がありまして」 「……えっ? そうなのか? 全然そんな風には見えないが……」 「人前では堂々と振る舞っていますが、それを家に帰ってきてから反省していることもあるんですよ。直接は仰いませんが、明らかに落ち込んでいたりして。可愛いですよねぇ」 「そ、そうなんだ……」  ということは、狩りで逆ギレしてアクセルを殺しかけたことも、家に帰ってこっそり反省していたんだろうか。可愛い一面と言われればそうかもしれないが、やられた方はちょっと複雑である。反省したならついでに謝ってくれればいいのに。 「ところでアクセルさんも、今日は弓の練習ですか? 僕はもう切り上げるので、この場所使ってください」

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