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第1174話

「あ、ありがとう……。というか、もう終わりにしちゃうのか。もう少しコニーの練習を見てみたかったんだが」 「ありがとうございます。でもお買い物がまだでして。洗濯物も回収しないといけませんし、やるべきことがたくさんあるんです」 「つまり家事全般か……。ランゴバルト様と分担はしていないのか?」 「分担だなんてとんでもない! お屋敷に住まわせてもらっているんですから、家事は全部やるのが当然です」 「そ、そうなんだ……」 「アクセルさんも、家事はほとんど引き受けていらっしゃるんでしょう? 毎日忙しいですけど、お互い頑張りましょうね」  そう笑いかけて、コニーは去っていった。  ――俺、もうちょっと家事やった方がいいのかな。  住まわせてもらっているという意識はなかった。兄とは実の兄弟だから、家事は分担こそすれ自分が全部やって当然と考えたことはなかった。  でもそうか……ここヴァルハラではランクの高い戦士の家に自分が住まわせてもらっているということになるから、代わりに家事全般は引き受けた方がいいのか……。  ちょっと早めに帰って、先に夕飯の支度しとこ……と思いつつ、アクセルはコニーがいた場所に立った。  改めて立ってみると的まで結構な距離があって、生半可な腕前じゃ狙ったところに当てるのは難しそうだった。さすがに届かないってことはないだろうけど、的にかすりもしなかったらちょっと凹む。 「……よっ!」  矢を引きしぼり、勢いよく放つ。  真っ直ぐ狙ったつもりだったが、飛んでいる間にも矢は重力に従ってどんどん落ちていき、真ん中どころか丸の一番端にかすっただけで終わってしまった。しかも中心から左にかなりズレている。風にも流されてしまったらしい。  ――自分で言うのも何だけど、これはかなりひどい……。  こんな調子じゃ、一ヵ月後のランクマに間に合わせるのは不可能に近い。風向きと重力を正確に計算に入れられるほど、熟練度も高くない。  これは本当に、ヤドリギをぶつける練習をしないといけないのかも……。

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