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第1178話

「ああ、そうだよ。餃子は〆のつもりで作った。野菜をいっぱい食べたくなってな」 「なるほど。鍋なら肉も野菜もたくさん食べられるからいいよね」  そう言いつつも、兄は多分肉にしか興味がないのだと思われる。  まあいいや……と半分諦めながら、アクセルは道具を片付けて部屋に戻った。兄も一緒についてきた。  その後は、ピピの夕食を用意してから二人で鍋をつついた。〆の餃子の時点でピピが「ピピもたべたい」と催促してきたので数個の餃子を余ったスープに入れて分けてやった。 「それでお前、明日の予定は?」  食後の紅茶を味わいつつ、兄が聞いてくる。 「非番なら、一緒に弓の練習でもするかい?」 「いいのか? 兄上が迷惑じゃなければ是非練習したいところだが」 「いいよ。私も練習しておかないと感覚がズレてしまいそうだし。せっかく庭に的を作ってくれたんだ、使わないと損だよね」  それはありがたい話だ。庭なら誰にも迷惑かけないし、兄がいればアドバイスももらえる。  アクセルはぐいっと紅茶を飲み干し、ティーカップを流しに持っていった。せっかく兄と鍛錬するのなら、早めに寝て明日に備えようと思ったのだ。  手早く風呂に入った後、就寝着に着替えて自分のベッドに入る。明日はちょっと早めに起きて、的を多く作っておこう。練習していたらきっとすぐにボロボロになってしまうから、予備もたくさん必要になるはずだ。  そんなことを考えつつ眠りにつこうとしたのだが、何故かベッドに兄が入ってきて一気に目が覚めてしまった。 「……あ、兄上? どうしたんだ、いきなり……」 「いやね、最近ランクマのルール覚えたり鍛錬に勤しんだりで、あまりやってなかったなーと思って。お前は溜まってないの?」 「え。それは……」  正直、そんなことほとんど気にしていなかった。ルールを把握したり弓の練習したりする方がずっと大事だったので、発散は完全に二の次だった。

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