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第1179話*

 アクセルは身じろぎして答えた。 「で、でもホラ……明日は弓の練習するんだろ? あまり夜更かししない方がいいんじゃないかと……」 「家でやるなら何時から始めてもいいじゃない。十時くらいからスタートしても夕方まで十分練習できるよ」 「そういう問題なのか!?」 「そういう問題だよ。それともお前、私に抱かれるのは嫌?」 「っ……」  そういう聞き方はずるいと思う。最初から答えがひとつしかないような問いは、強制的に従わせているのと同じだ。  更にタチが悪いのは、あくまでこちらに質問という形をとっているから、アクセルの意思で同意したように見える点である。  兄がベッドに入ってきた時点で、今夜の展開は決まっていたということか……。 「ね、答えて? お兄ちゃんに抱かれるのは嫌? 今日はそんな気分じゃない?」 「…………」 「ちゃんと答えるんだよ、アクセル」 「っ……」  突然口の中に指を突っ込まれ、舌を掴まれ引きずり出される。  こういう時の兄は無駄にサディスティックで、上から従わせる謎の圧力があった。幼い頃からこれが当たり前として育ってきたので、反発などできるはずもない。  舌を解放されたので、アクセルは途切れ途切れに答えた。 「嫌じゃ、ないです……」 「うん、いい子だ。ちゃんとお返事するのはいい子の証拠だよ。よくできました」  と、兄が嬉しそうに頬にキスを落としてくる。  ――もう……結局こうなっちゃうんだよな……。  こうなったら、早く終わらせてくれることを願って相手をさせてもらおう。兄自身も「明日は一緒に弓の練習をする」とわかっているはずだ。起き上がれなくなるほど激しいことはしてこないと思う。……多分だけど。 「……あっ」  寝間着のボタンを外され、あっという間に上半身を露出させられ、下着の隙間から手を入れられて陰部を直接握り込まれる。  そのままゆっくり上下に扱かれ、アクセルは肩を震わせながら口元に手を当てた。

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