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第1183話*

 だけど、ここで欲望に流されてしまったら絶対歯止めが効かなくなる。明日の鍛錬に響くようなことをしてはいけない。  そのわずかな理性に制御され、何とか踏み留まっている状態だ。  早く楽になりたいけど……何もかも忘れて気持ちよくなりたいけど……やっぱり、理性を失うのは何となく怖くて……。 「……んぅっ!」  不意打ちのようにつぷんと先端だけ挿し込まれ、ぞくっと背筋に電流が走った。指先まで甘く痺れ、反射的に腹の奥がきゅうっと縮こまる。 「ふ、ふ、ふぅ……っ」  どうにかこうにか耐えたものの、ここから一気に最奥を突き上げられたら耐えられる気がしない。この状況――両腕を頭上で拘束されていては抵抗することもできないし、結局自分はこのまま犯されるしかないのだ。  ――ああ、もう……。  とうとう我慢を諦め、おとなしく身を委ねようとごくりと喉を鳴らした次の瞬間、 「あ……あっ……?」  何故かすぽっ、と先端を引き抜かれてしまい、予想外の空振りに戸惑ってしまった。  ここまでして、どうして奥まで挿れてくれないのだろう。一体どういうつもりなのか。 「あ……にうえ、なんで……?」 「うん、せっかくだからおねだりしてもらおうかと思ってね。どうして欲しいか具体的に言ってくれたら、望み通りにしてあげるよ」 「えっ……!?」 「別に難しいことじゃない。自分の意思を相手に伝えるだけだからね。素直なお前ならできるだろう?」 「っ……!」 「ほら、どうして欲しい? ハッキリ言ってごらん」 「っ、うっ……!」  兄が再び肉幹を秘蕾に擦りつけてくる。生々しい感覚が尻の狭間を行き来するだけで、また軽くイきそうになった。  ――こ、こんな……こんなの、ひどい……!  直接おねだりしろだなんて、どんな羞恥プレイだろう。普通に抱かれるだけでも恥ずかしいのに、大事なところを縛られて身体の自由も奪われ、その上更に辱められるなんて頭がおかしくなりそうだ。

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