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第1192話

 翌朝。明るい陽射しを受け、アクセルは目を覚ました。 「…………」  ぼんやりと目を擦り、ゆっくり身体を起こす。  昨日は何も考えずそのまま気絶してしまったが、起きたらきちんと就寝着を纏っていた。後始末もされており、下腹部の違和感もなくなっている。  もしかしたら兄が全部始末してくれたのかもしれない。全然覚えてないけど、風呂場に連れ込まれて甲斐甲斐しく後始末されたような気もする。  ――って、それはそれで普通に恥ずかしいんだが……。  赤面するのを何とか堪え、アクセルは時間を確認した。 「えっ!? 嘘だろ!? もうこんな時間か!?」  驚いたことに、時計の針は午前十時を少し過ぎたところを指していた。  いつもは六時くらいに起床しているのに、どんだけ寝過ごしているんだ。今日は弓の稽古をする予定だったのに。やる気あるのか!?  慌ててバタバタとベッドから抜け出し、リビングに駆け込む。テーブルの上には朝食が用意されていたが、兄の姿はなかった。さすがにこんな時間じゃ、どこかに鍛錬に行ってしまったに違いない。  ――一緒に弓の鍛錬するって約束が……。  自分が寝過ごしたばっかりに、またふいにしてしまった。なんか最近こんなのばかりだ。  本気の手合わせも、約束したっきり実現できてないし……。 「はぁ……もう」  深い溜息をつきながら、アクセルは朝食を口にした。  兄が作ってくれたのは冷めても美味しいサンドイッチで、中に挟んである玉子とチキンが美味だった。  今日の夕食は、ちゃんと俺が一から作ろう……。 「ごちそうさまでした」  声に出してきちんと礼を言い、手早く食器を片付ける。  そしてトレーニングウェアに着替え、ベランダから庭に下りた。かなり出遅れてしまったが、今からでも弓の稽古はしなくてはならない。ランクマッチまで時間もないし。 「……!」  庭に下りた途端、ハッ……と目を見張った。  ピピの小屋の近くに兄が立っている。やや大きめの弓を構え、遠くに置いてある的を狙っていた。その矢を引く姿も、ものすごくサマになっていた。

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