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第1198話
「じゃあ、明日からはそれで鍛錬してね。それよりお兄ちゃん、お腹空いたな。早くシチュー食べたい」
「わかったよ。すぐ用意するからちょっと待っててくれ」
アクセルはもらったボウガンを武器庫の一番手前に保管し、それから家に戻ってシチューを温め直した。
長時間煮込んだことで、肉はホロホロに崩れ、人参やジャガイモも柔らかくなっていた。
兄は「美味しい、美味しい」と何杯もおかわりし、結局一人で鍋の中身をほぼ空にしてしまった。
そんなに食べて大丈夫か……と若干心配になったが、よく考えたら兄はもともと大食漢だった。この点も、自分とは全然違う。
「お前、明日の予定は?」
鍋を洗いながら、兄が尋ねてくる。
アクセルは洗われた食器を拭きつつ、答えた。
「もちろん、ボウガンの練習をするさ。兄上は何か用事があるのか?」
「私は狩りの引率をしないといけないんだよね。ほら、上位ランカーが時々下位ランカーを引き連れて山に狩りに行くじゃない? あれの指導というか」
「えっ? そうなのか? ……いいなぁ」
「えー? よくないよ。面倒臭いじゃない、そんなの」
「兄上はそうかもな。でも下位ランカーの立場からすると、ものすごい当たりだと思うんだ。何せ兄上が引率してくれるんだからな」
自分の時はランゴバルドだったので、指導してもらえるどころか逆ギレされてエラい目に遭ったのだが。
「はあ……俺もついて行きたいなぁ……。いきなり飛び入り参加はダメだろうけど……こっそり後ろからついて行きたい……」
「もう、何言ってるの。お前にはいろんなことを手取り足取り教えてるじゃない」
「それとこれとは話が違うんだよ。公式の仕事で兄上に引率されるのがいいんだ」
プライベートでは何でも教えてくれる兄だけど、仕事ではあまり接触する機会がない。公式死合いでもボロ負けして以来当たったことがないし、定期的な仕事でもすれ違ってばかりだ。
なんだか、わざと避けるよう仕組まれているみたいで釈然としない。
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